2010年12月11日土曜日

総合学習を生かす(10)下級生指導 統率力育む

(読売 12月4日)

四国山地にある高知県大豊町立大豊町中学校。
体育館では、1~3年生の男女15人が、人気アイドルグループ
「AKB48」の曲に合わせて、振り付けの練習中。
「顔も手と一緒に上げて」、「もう一度やるよ」と、
リーダーの3年女子生徒2人が指示を出す。

総合学習の授業で、全校生徒が「演劇」、「アート」、「ダンス」班に分かれ、
1か月先の発表会に向けて、練習や制作活動に励んでいた。

同中の総合学習は、1~3年を混成させた縦割り班で学ぶ。
狙いは、リーダーシップの育成。
リーダーは3年生に限り、なるべく部活動の部長などの
経験者以外の生徒に担当。

どの班もリーダーは複数おり、話し合いや練習など
活動すべてのまとめ役を担う。
ダンス班は、AKBを含めて2チーム、リーダーは各2人いるが、
2チーム合同で踊る「ソーラン」や、全体を統括するリーダーも計3人いる。

矢部喜久校長(56)は、「人を束ねて、一つのものを作り上げるのは大変。
その苦労と達成感を、多くの生徒に学んでほしい

総合学習の授業時間は、学年ごとに年間50または70時間と違うが、
全学年が発表会前に計31時間を集中させたカリキュラムを組む。
リーダーたちに、スケジュールの見通しを持った運営も経験させる。

ダンスの練習後、リーダーたちが、
「いつから『ソーラン』を始めたらいいですか」と質問、
担当の福留雅子教諭(36)は、「それは自分たちで考えないと」と答えた。
リーダーは、練習日程など考えて班を引っ張り、教師はあくまで相談役。

AKBでリーダーを務めた3年松本結里さん(15)と関口凛さん(14)は、
「去年は、先輩の指示に従えば良いだけで楽だった」と、
「踊りを覚えるより、人に教える方が難しい」、
「人をまとめるのは大変」

同中は町内唯一の中学校で、各学年約30人の1クラスずつしかない。
小さな頃から同じ顔ぶれに囲まれ、クラス替えもないので、
新しい人間関係を作る経験も乏しい。
リーダーシップ育成に取り組む背景には、こうした事情も。

卒業生の多くは、高校の部活や体育祭などで、
まとめ役を買って出て活躍している。
矢部校長は、「上級生の自覚が芽生えるだけでなく、
様々な人と作り上げていく力が養われている」と力を込める。

今後の人生の出会いを生かす素地が、総合学習で培われている。

◆縦割り学習

異なる学年の子どもたちが一緒のグループで活動する学習。
異年齢の人間関係を学べる効果がある。
上学年は、下学年の子どもを気遣い、責任を持って活動できるようになり、
下学年が上学年の先輩に対し、あこがれや目標を見いだす機会に。
体育祭や掃除、給食などの活動で行われている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101204-OYT8T00199.htm

0 件のコメント: