2010年12月10日金曜日

読解力回復 数学、科学上位維持 PISA結果で判明

(サイエンスポータル 2010年12月8日)

国際的に見劣るとされていた15歳生徒の読解力が
3年前より向上、9年前のレベルに回復していることが、
経済協力開発機構(OECD)が公表した
国際学習到達度調査(PISA)結果から明らかに。

PISAは、OECD加盟国と調査実施基準を満たす参加希望国・地域を
対象に、2000年から3年おきに実施。

文章を理解、利用、熟考する能力を問う読解力、数学的根拠に
基づいて、判断できる能力を問う数学リテラシー、
科学的知識を使用し、証拠に基づく結論を導き出す能力を問う
科学リテラシーの3分野について、15歳を対象に抽出試験を行う。

各回3つの試験のうち、1つが重点分野とされ、
今回は読解力が他の2分野に比べ、倍の試験問題が受験者に課された。
前回、読解力が重点分野だったのは2000年で、
この年との比較が最も重視。

今回の調査は、09年に実施。
日本の15歳生徒の読解力平均得点は、統計的有意差を考慮すると
上海、韓国、フィンランド、香港より下だが、
シンガポール、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、
オランダとほぼ同じ、上位4カ国・地域の次に位置。

3年前06年の調査結果では韓国、フィンランド、香港、カナダ、
ニュージーランド、アイルランド、オーストラリア、リヒテンシュタイン、
ポーランド9カ国・地域より下位、
グリアOECD事務総長から、「文章情報を取得し、処理し、統合し、
評価することが最大の課題」と評された。

今回の調査結果は3年前に比べ、明らかに読解力の向上を示しているが、
読解力が重要分野とされた2000年の調査結果に比べ、
「統計的有意差はない」。

2000年の調査では、「1位のフィンランドとは統計的に有意差が認められるが、
上位2位グループに位置する」という結果、このレベルに回復。

数学リテラシーの平均得点は上海、シンガポール、香港、韓国、台北、
フィンランドに次ぐグループで、科学リテラシーは上海、香港、
フィンランドにつぐグループに入っている。

いずれも前回、重点分野だった調査年(数学は03年、理科は06年)に比べ、
調査結果に「統計的有意差はない」とされた。
数学リテラシーは03、06年とも高いレベルを維持していると評価。

科学リテラシーについて、「科学的知識を再現し、科学的証拠を
解釈することにより、結論を導く能力は高い」と評価、
「科学的に探ることができる問題を認識し、科学的探求に必要な要素を
見つけ出すのは苦手」とOECDから指摘。

数学、科学リテラシーとも明確な経年比較は、
それぞれが重点分野となる次の調査結果(数学2012年、科学2015年)を
見ないと分からない。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1012/1012082.html

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