2011年6月16日木曜日

過去の「津波石」が出現 大船渡・三陸町

(岩手日報 6月10日)

大船渡市三陸町吉浜の吉浜川河口付近で、
「津波記念」と彫られた大きな「津波石」が見つかった。

明治か昭和の三陸大津波で、海から運ばれてきた石で、
かつては津波記念碑として置かれていた。
道路工事の際、埋没した。

東日本大震災の津波は、その道路を破壊し、崩れたのり面から一部が露出。
発見した住民たちは、偶然現れた津波の歴史を伝える
貴重な石の保存を求めている。

津波石を発見したのは、近くに住む※木沢(はのきざわ)正雄さん(82)、
柿崎門弥さん(81)、木川田平三郎さん(78)、木村正継さん(64)。
木村さん以外は幼い頃、津波石の周辺でよく遊んでいた。

津波石のことを思い出し、周辺を訪れた。
石の上にあった市道は、今回の津波で無残な姿に。
落下した橋より、少し海寄りの砂から一部が出た石を見つけた。

3人の記憶から、「この石に間違いない」と判断。
2時間かけて周辺を掘った。
「津波記念碑」と書いているはずだが、文字はなかなか見えない。
この日の作業を終えようと水洗いすると、「津波」の文字が浮かび上がった。

石は、まだ上部を見せたばかりだが、横幅3m、高さ2m程度と推測。
3人は、「とにかく大きな石だった」と記憶。
砂に埋もれた部分に、いつの時代の津波記念碑かなど
細かい記載があるとみられる。

石を埋めた道路工事の経緯や石の存在を知る住民は限られる。
木川田さんは、この工事に作業員として携わっており、
1975年前後と記憶。
「当時、現場で『壊すか、埋めるか』と言われた。
どうしても残したかったので、それならば埋めた方がいいと
話した記憶がある」と振り返る。

震災当日午前、※木沢さんと柿崎さんは散歩しながら、
「津波石はどこに埋まっているんだろうね」と。
偶然にも、午後の津波で石が顔を出した。

石を見た※木沢さんは、「懐かしい。今後はこれをしっかりと残さなければ」
木村さんは、「今回の津波で、数十年ぶりに姿を現した記念碑。
津波の記憶を風化させないため、市に保存、活用をお願いしたい

※は、木へんに「爪」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110610_2

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