2011年6月17日金曜日

安全、高効率にiPS細胞 マウスで100%、京大

(2011年6月9日 共同通信社)

未受精卵や受精卵の初期段階で強く働く遺伝子「Glis1(グリスワン)」を
導入することで、より安全な人工多能性幹細胞(iPS細胞)を
効率よく作ることに、京都大の山中伸弥教授の研究チームらが成功、
9日付の英科学誌ネイチャーに発表。
マウスなら、作製効率はほぼ100%で「顕著な改善」。

山中教授は、「グリスワンは、iPS細胞の実用化に有利な性質を備え、
魔法の遺伝子」

体のさまざまな種類の細胞になれるiPS細胞は、
山中教授が四つの遺伝子を導入して開発。
遺伝子「cMyc」を使うと、iPS細胞ががん化する不完全な細胞ができる
恐れがある一方、cMycを除くと作製効率が極端に低下する問題。

チームは、cMycを除く三つの遺伝子とグリスワンを、
マウスとヒトの線維芽細胞に導入。
iPS細胞の作製効率は、cMycを含む従来の4遺伝子を使った
場合よりも高くなった。

グリスワンは、不完全なiPS細胞の増殖を抑えるとみられ、
チームの前川桃子助教は、「完全なiPS細胞だけが増殖すると考えられる」

チームは、今回作ったiPS細胞がマウスの生体内で、
神経細胞や軟骨などに分化したことも確認。

※iPS細胞

神経や筋肉、血液などさまざまな組織や細胞になる能力がある新型万能細胞。
皮膚などの体細胞に、外部から遺伝子を導入して作る。
京都大の山中伸弥教授が2006年にマウスで、07年にヒトで作製成功。
事故や病気で失われた組織や細胞を回復する再生医療や
新薬開発などでの利用が期待。
がん化の危険性があり、実用化に向けては安全性の向上が課題。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/9/137720/

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