2008年10月18日土曜日

粘性廃油と木くず混合で新燃料に 太平洋セ工場で12月施設稼働へ

(東海新報 10月12日)

太平洋セメント(株)大船渡工場(森本知久工場長)は、
同工場敷地内に粘性度の高い廃油と木くずを混ぜ合わせた燃料を
製造する施設建設を進めている。

これまで、リサイクル資源を製造原料や熱資源として利用を拡大してきたが、
廃塗料など粘性度の高い廃油は取り扱いが難しい。
12月中の稼動を目指し、石炭など資源価格が高騰している中、
市内におけるリサイクル産業拡大の契機としても注目。

セメント製造の主な原料は、石灰石や鉄原料、粘土で、
原料を混ぜ合わせて焼き上げる際の燃料として石炭が用いられる。
同工場では、廃棄物原料として焼却灰や下水汚泥、
燃料として木くずやタイヤ、肉骨粉、廃油などをすでに資源化。

燃料利用後に残る灰も、セメント原料として使われ、
環境に優しい資源化として実績を伸ばし、
年間で約45万トンの廃棄物処理実績を誇る。

廃油のうち、流れやすい粘性度の低いものは利用してきたが、
高粘性の廃油は焼成施設の投入や運搬などでの取り扱いが難しく、
利用を見合わせていた。

廃油には、廃塗料や油泥、廃グリス、廃グリセリンなど、
食産業、工業分野問わず幅広い業態で排出されるが、
他業種でも資源化は困難。

同工場では2年前から、再利用に向けた検討に着手。
燃料利用されていた木くずは、着火性に課題があったため、
廃油と混ぜ合わせて固形燃料化するプロジェクトを立ち上げ、実験を重ねてきた。

木くずは五センチ以下に、破砕して廃油と混ぜることで、
固体のリサイクル混合燃料ができる。
炭火焼きなどで用いられる着火材のような役割を果たし、
安定的な運搬や焼成設備への投入が可能となり、実用化へのメドがついた。

同工場敷地内に今年6月、廃油などの保管施設を建設。
現在は、混合するミキサー設備などを備えた混合燃料製造施設の整備を進め、
12月からの稼動を目指す。

燃料化事業を本格的に進める背景には、世界的な資源価格高騰の影響。
同工場では、「石炭は、5年前から価格は上がり、現在は当時の4、5倍」。

廃棄物利用は、原材料費コストの削減だけでなく、
処理費用としての収入も見込める。
国際的にリサイクル資源化が進む中、廃タイヤや廃プラスチックも
確保が難しくなっており、より高度な利用技術を確立することで、
安定的な確保を図るネライ。

輸送コストを考慮して、県内を中心とした高粘性廃油、木くずの確保を目指し、
運搬や破砕処理、資源集約など地域全体でのリサイクル産業充実にも期待。
自然災着による被害木処理といった地域課題にも応用できる将来性があり、
今後の展開が注目。

「木くずだけでなく、廃畳などを混ぜて混合燃料とすることも。
環境負荷のない処理方法であり、この設備を生かして
さらにリサイクル事業を拡大していきたい」

同工場は、昭和55年に廃タイヤ再生利用認定を取得。
昭和60年には、各種リサイクル資源の受け入れを始めた。
平成10年、ISO14001を取得し、16年からは青森・岩手の
県境産業廃棄物の本格処理を行っている。

廃棄物のセメント資源化による適正処理が評価され、
今年度の循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰を受けることが決まった。

http://www.tohkaishimpo.com/

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