2008年10月18日土曜日

大阪をバイオの世界拠点に 府が旗振り役、産学官連携 「関西経済」

(共同通信社 2008年10月9日)

10年後の2018年に、世界第5位の国際バイオ都市に。
大阪府は関西の大学、製薬会社などと産学官の連携を強め、
大阪を、革新的新薬や医療機器を生み出す世界有数の
バイオ産業拠点に育てる取り組み。

緊縮財政の大阪府が、橋下徹知事の肝いりで08年度予算に
バイオ振興関連費約3億1000万円を計上。
旗振り役が決まったことで、関係者は「転機になる」と期待。

大阪は、江戸時代から栄える薬の街「道修町」に製薬会社が林立し、
学研都市「彩都」(大阪府茨木、箕面両市)には、
研究施設やベンチャー企業が集まる。
免疫学に強い大阪大や、高い技術の東大阪の製造業者など、
バイオ産業創出の素地はある。

大阪医薬品協会を中心に、製薬会社や医療機器メーカー、大学など
第一線の実務者が集う「大阪バイオ応援団」が発足
橋下知事は、「関西全体でバイオを盛り上げる施策を考えたい」。
企業や大学と連携する府の窓口「大阪バイオ・ヘッドクオーター」を開設。

大阪商工会議所の野村明雄会頭や大阪大の鷲田清一学長、橋下知事ら
産学官のトップでつくる「大阪バイオ戦略推進会議」を開催。
戦略やスケジュール、国への要望などを審議し、数値目標を明示した
行動計画を来年3月までにまとめる予定。

大阪バイオ戦略推進会議が挙げた課題は、
ベンチャー支援、規制緩和、治験ネットワーク作りの3つ。

「いかにベンチャーを多数創出し、成功例を積み上げるかに尽きる」
(府商工労働部・藤田哲士理事)が、
それには資金や人材を呼び込む仕組みが要る。

欧米に比べ、「新薬審査に時間が2倍かかる」といわれる規制の緩和も重要、
東京だけの審査窓口を大阪にも設けるよう国に要望する予定。

大阪府が本格的に取り組む背景には、
「手をこまぬいていれば、国際的な競争力を失う」との強い危機感。
製薬業界の再編に、東京への一極集中の流れも加わり、
本社機能を大阪から関東に移す企業が続出。

医薬品生産額で長らく全国1位だった大阪府は06年、
埼玉県と静岡県に続く3位に転落。
「これ以上の流出に歯止めをかけたい」との思いがにじむ。

世界的な株価下落もあり、大阪の新産業を取り巻く環境は厳しい。
逆風下でいかに資金と人材を集め、規制緩和などの側面支援を
国や自治体に求めていくかが鍵。
オール関西として京都府、兵庫県などの自治体との協力も視野に。

大阪バイオ応援団メンバーで、遺伝子医薬を開発する企業
「アンジェスMG」(茨木市)の森下竜一取締役
「将来の基盤産業を目指し、京都や神戸と連携できれば、
関西の強みはさらに生きてくる」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=81131

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