2008年10月13日月曜日

日本人3氏がノーベル物理学賞に輝いた理由

(サイエンスポータル 2008年10月8日)

南部陽一郎、益川敏英、小林誠の3氏に、
ノーベル物理学賞が贈られることが決まった。
この快挙について、新聞各紙は、3氏の業績が早くから内外に
広く知られたものであり、受賞は遅すぎるくらいである、と一様に伝えている。
「南部陽一郎氏が、『自発的対称性の破れ』をまとめたのは1961年、
『小林・益川理論』の発表は73年。評価されるまで47、35年待たされた」(読売)。

また読売は、「2004年のノーベル物理学賞の際、
スウェーデン王立科学アカデミーは発表資料の中で、
『ナンブの理論は正しかったが、おそらく早すぎた』と
異例の長文で言及」していたことも紹介。

日経も、駒宮幸男・東京大学素粒子物理国際研究センター長が、
「2004年のノーベル物理学賞は、素粒子のクォークの振る舞いに関する
研究で成果を上げた米国人らが受賞したが、その基礎の理論は
南部先生のオリジナルな仕事だ」、
益川、小林氏の業績についても、「小林・益川理論は、現在も素粒子分野の
論文の被引用件数で世界歴代2位を誇る」(産経)、
その重要性が詳しく紹介。

なぜ、ことし3氏がようやく受賞の栄誉に輝くことになったのか?
益川氏は、「ノーベル賞の出し方には、規則性がある。
昨年までは絶対ないと思っていたが、ことしはある程度予測していた」(東京)

規則性とは何か、まで益川氏は明らかにしなかったが、
なぜことしだったかを推測する事柄を、各紙の記事から探すことができる。
3氏の研究業績の根源にある疑問、「質量の起源」を探る
「壮大な実験が、9月からジュネーブにある欧州合同原子核研究機関(CERN)
の新しい加速器LHCで始まった」(朝日)。

「大型加速器『LHC』は、陽子同士を高速に近い速さで衝突させ、
宇宙誕生直後の状況を再現しようと試み。
その過程で、CP対称性の破れがどのように生じたか、
課題が解明されることが期待される」(毎日)。

日経は、駒宮幸男・東京大学素粒子物理国際研究センター長による見方、
「来年にも、南部先生の理論をもとに存在が予測されている
未知の素粒子が実験で証明されるはず。
今回の受賞は、そのタイミングだからではないか」

http://www.scienceportal.jp/news/review/0810/0810081.html

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