2009年1月15日木曜日

エネルギーの地産地消を 環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也さん

(毎日 1月5日)

――日本は、京都議定書で約束したCO2排出削減を達成できるか?

京都議定書で、日本は2008~12年の年平均で、
1990年に比べて6%減らすと約束したが、07年度の速報値は8・7%の増。
このままでは、目標達成は無理でしょう。
最大の原因は、CO2排出量が多い石炭などを使う
火力発電の発電量が増えていること。
中越沖地震などの影響で、CO2を基本的に排出しない
原子力発電の稼働率も下がっている。

――削減するにはどうすればいいのか?

原発は、地元の同意を得るのに時間がかかり、
建設ラッシュだった70年代と同じペースで作り続けるのは難しい。
CO2を排出しない太陽光や風力、地熱など自然エネルギーを
思い切って増やすしかない。
ドイツやスペインでは、電力会社が高い価格で太陽光発電の電力を
買い上げる政策を導入し、発電量を爆発的に増やした。
自然エネルギーの業界が発達し、技術革新が進めば、次第にコストも下がる。
自然エネルギーを増やせば、海外に依存しているエネルギーの「自給」に
つながり、新しい雇用や産業を生み出す効果も。

――我々市民にできることは何か?

自然エネルギーの発電にかかる割高な費用の一部を、
企業や自治体のほか、市民が負担するグリーン電力証書という仕組みがある。
洞爺湖サミットで温暖化問題への関心が高まり、
昨年は証書の販売量が大幅に増えた。
住民出資で風力発電を設置する「市民風車」も各地にできている。
「エネルギーの地産地消」こそ、資源のない技術立国・日本が
目指すべき道ではないか。
自然エネルギーの導入促進に予算を重点投入するなど、
国は大胆に政策の舵を切るべき。

飯田哲也さん

環境省中央環境審議会臨時委員。
電力中央研究所やスウェーデン・ルンド大学の研究員を歴任し、
環境エネルギー政策の提言を続ける。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/kikitai/20090105-OYT8T00473.htm

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