(岩手日報 1月8日)
宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館の主任学芸員、
山内ヒロヤス(本名宏泰)さん(37)は、
明治三陸大津波を題材にした小説「砂の城」を出版。
実際に発行された雑誌「風俗画報」の記録を基に被災状況を描き出し、
津波の恐怖を現在に伝えている。
物語は岩手、宮城県境付近にある街が舞台。
小学校教師が、お年寄りに津波体験を聞く形で展開。
1896(明治29)年6月の夜、予期せぬ津波にのみ込まれる囚人や
漁師一家、被災地を取材する記者らを描く。
現在の写真週刊誌の先駆けともいえる風俗画報は、1879(明治12)年創刊。
明治三陸大津波の直後には臨時増刊号3冊を発行し、
絵画と記事で惨状を伝えた。
山内さんは、美術館学芸員として風俗画報の絵画に着目。
2006年に同館で特別展「描かれた惨状」を開催。
特に、子どもたちに津波の様子を伝えたいと考えていたが、
学校単位での観覧は1校にとどまった。
関心の低さに落胆した山内さんは、調査研究の成果を展覧会とは
別の形でまとめたいと考え、明治三陸大津波をモチーフにした
「再現ドラマ」として小説を執筆。
山内さんは、「今後も津波の襲来は予想されている。
大量の車やコンクリートが海中に流され、養殖をはじめとした漁業が
壊滅的な被害を受けることも考えられる。
今考えなければならないことは多いのではないか」と警鐘を鳴らす。
同書は近代文芸社刊。B6判、153ページ。1785円。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090108_11
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