2009年1月12日月曜日

現場再訪(1)英語漬け授業 国語力も向上

(読売 1月7日)

「英語漬け」の一貫校は、開校から4年がたつ。

正月休みを神奈川県相模原市の自宅などで過ごした会社員
前田英典さん(45)は、妻の美雪さん(43)、長女の美理愛ちゃん(10)、
次女の侑理愛ちゃん(8)を、群馬県太田市に送った。
2人は、大半の授業を英語で行う同市の私立ぐんま国際アカデミー(GKA)
4年生と2年生。8日から学校が始まる。

開校以来、英典さんは相模原、妻子は太田で生活を続けてきた。
月10万円を超える授業料に加え、二つの自宅のローンがある。
2人は水泳教室に、美理愛ちゃんは昨夏から算数の塾にも通い始めた。
美雪さんはパートの仕事に就いた。
「いつまでやりくりできるか不安もあるが、家族で話し合って決めたことだから
後悔はない」と英典さん。

GKAは、政府の構造改革特区制度を使ってできた一貫校。
3年間、1年生と4年生を受け入れ、昨春、初等部を終えた1期生60人のうち
51人が中等部に進んだ。
7年生(中学1年)までの児童生徒552人に、教員は47人(うち外国人21人)。
今秋には、車で10分ほどの公立小移転跡で高等部の校舎建設が始まる。

初等部の授業は日本語と英語が3対7だが、
中等部では日本語での授業がやや増えた。
初等部では、算数と理科がすべて英語なのに対し、
中等部では数学と理科の1コマずつを日本語で行い、補習に充てている。

「英語で学んだことは十分理解できているが、内容も高度になり、
専門的な言葉も多い。日本人として、日本語に置き換えて説明できないと、
将来困ることも出てくるはず」と7年生の学年主任、山田ヘイ美由紀教諭(48)。

フィリピン人教師が担当する理科を先月初旬にのぞくと、
水溶液の性質を学ぶ授業で、「硝酸カリウム」「再結晶」といった
英単語が飛び交っていた。
生徒たちは水に溶かした物質を取り出し、その形を顕微鏡で確認、
教師の質問に答えながら、英語で書かれた板書をノートに書き写した。

子供たちの学力はどうか。
7年生は昨秋、国際的な英語テストTOEICを任意で受けた。
受験者25人の平均点は、477点(990点満点)。
英語や英文学専攻の大学1年生の平均点を上回った。
6年生はこの2年、国の全国学力テストを受けている。
国語、算数とも、基礎を見る「A問題」でほぼ国の平均を上回り、
活用力を見る「B問題」では平均より10点以上高かった。

読書感想文コンクールでも、今年度の市代表6作品中、4作品が
GKA初等部の児童。
「国語も英語も、1年生から、調べてまとめたことを発表させる作業が多い。
それが作文の質につながっている」と井上春樹副校長(64)。
英語で学ぶことが多いからこそ、日本語の思考力が重要だと、
初等部では教師への国語の研修に力を入れ始めた。

一方、地元の塾にはGKA向け予習コースができた。
美理愛ちゃんが通うのもこの塾。
初等部4年以上の算数、中等部の国語、数学が週1回ずつあり、
各クラスに4、5人が通う。
「長期的に見れば、英語で学んでも学力は大丈夫。
でも、保護者の不安を取り除く必要がある」と井上副校長。

日本語とのバランスに配慮しながら、「英語で考える」子供を育てる――
GKAの理想に向けた模索が続く。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090107-OYT8T00183.htm

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