(朝日 2009年1月13日)
お年寄りは若い人に比べ、嫌な記憶を消すのが上手らしいことが、
米デューク大の研究でわかった。
お年寄りは、つらい記憶を処理するとき、若い人とは別の脳の部分を
使っていて、過去がバラ色に見えやすいらしい。
米専門誌サイコロジカル・サイエンス電子版に発表。
平均年齢70歳と24歳の15人ずつの協力者グループに、
30枚の写真を見てもらった。
写真には、普通の図柄に加え、ヘビがかみつこうとしているところや
暴力シーンなど、見るのが嫌な図柄も含まれていた。
その後、写真の図柄を覚えているかどうかを尋ねるテストを実施。
普通の図柄では、お年寄りと若い人で成績に差はなかったが、
嫌な図柄の写真では、若い人は52%が覚えていたのに対し、
お年寄りが覚えていたのは44%。
協力者が写真を見ている間、機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で
脳を観察したところ、お年寄りは若い人に比べ、記憶に関連し、
感情をつかさどる部分より高度な思考をつかさどる部分が活発に働いていた。
人間は、年齢によって脳の使い方の戦略を変えているらしい。
チームのロベルト・キャベザ教授は、
「若い人は、いい記憶もつらい記憶も正確に記憶する必要がある。
年配の人はつらいことの多い世界に生きているので、
つらい記憶の衝撃を減らし、記憶するようになったのだろう」
http://www.asahi.com/science/update/0113/TKY200901130082.html
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