2009年1月13日火曜日

スポーツ21世紀:新しい波/289 武道の必修化/7

(毎日 1月10日)

剣道を、正課の授業に取り入れている私立小学校がある。

大阪城の天守閣を間近に望む追手門学院は、昨年創立120周年を迎えた。
前身の大阪偕行社付属小学校は、明治21(1888)年、
薩摩藩出身で後に陸軍大臣や明治天皇の侍従などを務めた
高島鞆之助によって創設

高島は、大阪鎮台司令官に着任した際、礼儀作法を心得ない子どもたちに驚き、
礼節としつけを重視した教育の必要性を感じた。
だが、規律一辺倒ではなく、国際化を見据え、
創立当時から英語を取り入れてもいる。

剣道の授業は、大正4(1915)年から始まった。
第二次大戦後、武道を禁止したGHQ(連合国軍総司令部)の方針で中断、
昭和30年代に復活。
現在は5、6年生の男子を対象に週1回実施、成果を試す場として、
1月の寒げいこ、9月の暑中げいこと剣道大会、10月の体育大会がある。

昨年末、5年生の授業を見学。
約80人がはかまに防具をつけ、大きな声を出しながら、
竹刀を振りかぶってメン打ちを繰り返す。

最初のうちは、防具のひもを自分で結べず、打たれて泣き出す子も。
指導する林英男教諭は、「しんどい思いをして、自分の限界を知ることで
心が強くなり、たくましくなる」

子どもたち数人に感想を聞いた。
「スポーツと違って剣道は礼儀がある。
相手を敬い、一本をとってもガッツポーズをしたりしない」。
優等生的な答えだと思いつつ、感心もした。
岩渕正文教諭は、「強い剣士を作ることが目的ではないので、
技術だけにならないようにしている」

21世紀の今、小学生に剣道を教える意義は何なのか。
「時代遅れかもしれないが、今までやってきたことを、
次の時代につないでいるだけ。
一つのことをやり抜くことが、生きる自信になる。
そんな力を剣道を通して子どもたちにつけてあげたい」。
それが森義和教頭の答えだった。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

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