2009年3月20日金曜日

不況こそチャンス 「好きなこと」を仕事にした起業家たち

(CNN 2月28日)

米経済の悪化を受けて失業や解雇の嵐が吹き荒れるなか、
逆風を方向転換のチャンスととらえ、新たな道を進み始めた人々がいる。
長年の夢や趣味をキャリアにしようと、
美容院や時計店など新たな事業に挑戦するケースも多い。
不況下の起業はリスクが大きいが、経費が安く済むなどの利点も。

イリノイ州シカゴに住むジェニファー・ジャクソンさん(39)は大卒後12年間、
電気エンジニアとしてモトローラ、AT&Tなどの大企業で活躍。
景気の悪化にともない、エンジニアの求人は激減。
「この機会に発想を切り替えよう」と決心し、昨秋美容室を開業。
子どものころからの夢だった美容師となって、多忙な毎日を過ごしている。

テキサス州ヒューストンのローラ・ウォルダスキーさんは、
有名ブランドのデザイナーだったが、オリジナルのアクセサリー店を開いた。
数カ月の失業期間を経て、長年の趣味を仕事にしようと思い立ち、
預金をつぎ込んで開店にこぎ着けた。
「ずっと他人の会社のためにお金をもうけてきたけれど、
今度は自分の才能を自分自身のために使いたいと思った」と、目を輝かせる。

同州アーリントンでは、IT企業のサラリーマンだったジム・ペンソンさん(55)が、
音楽講師に転身。
04年、ITバブルの崩壊で職を失い、800通以上の履歴書を送っては
突き返された末、「残ったのは趣味のカントリー・ミュージックだった」
バンジョーやマンドリンの教室を立ち上げて、20人以上の生徒を集め、
何とか生計を立てている。

ニューヨーク州ハーツデールで時計店を始めたのは、
ウォール街の金融マンだったウォルター・カーシュバウムさん(63)。
2年前に解雇されたが、60代で新たな職を見つけるのは難しかった。
趣味は古時計の収集、特技は時計修理。
それらを生かして、年中無休で店に立つ。
「失業前の仕事と違って、華やかさも権威もないが、楽しい毎日。
妻と2人で食べていくだけの収入はある」と、満足げ。

厳しさを増す米国内の雇用状況。
毎日どこかの大手企業が人員削減を発表し、金融や法律などの分野も
もはや安全ではなくなった。
学歴が豊かな収入につながるという図式は、すでに崩壊。

小規模企業の経営は、通常でも決して簡単ではない。
起業後、1年生き残る会社は8割、4年では半分以下という統計。
信用収縮が深刻化する昨今、起業家は相当のリスクを覚悟する必要。

一方、景気の悪い時は家賃や広告料が安くなる傾向があり、
求職中の有能な人材を確保できる確率が高い。
既存の競争相手も体力が弱っているため、
新参者が市場シェアを奪い取るには絶好のチャンス。

過去の例をみても、日用品大手のプロクター・アンド・ギャンブルは
1837年の恐慌、運送大手フェデックスは1973年の石油危機という
時代にそれぞれ設立。
「リスクはもちろん怖いけれど、その分だけ希望も大きい。
逆風にさらされるままじっとしているより、未来にかけるほうがはるかに良い
と、起業家たちは口をそろえる。

http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200902280001.html

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