2009年3月18日水曜日

インタビュー・環境戦略を語る:キーコーヒー・柴田裕社長

(毎日 3月9日)

レギュラーコーヒー大手のキーコーヒーが、
インドネシアの直営農場内での森林保護など環境保全に取り組んでいる。
07年、安全で信頼性が高いコーヒーを認定する世界的なプログラム
「グッドインサイド」の認証を受けた。
柴田裕社長に環境への取り組みについて聞いた。

--環境保全に積極的に取り組みを始めたきっかけは?

◆コーヒーは、自然のめぐみ。
自然のお陰で事業が成り立っている。
コーヒーはほとんどを輸入に依存しており、
生産国の生態系を壊さないようにしなくてはならない。
インドネシアのスラウェシ島の高地で、直営農場を長年運営する中で、
環境保全の大切さが分かってきた。

--直営農場ではどのような取り組みをしていますか。

530ヘクタールの農場のうち、コーヒー栽培に使用しているのは約6割、
残りの4割は森林。
農場より、標高の低い地域で暮らす人々の水源を守るためで、
植林などで森林率を維持。
コーヒーはハチによる受粉、自然交配で実がなるため、
さまざまな植物が共存し、多様性が保たれている方が、
コーヒーの生育にもいいことが分かってきた。
減農薬や有機栽培も取り入れている。

農場は、1000~1200メートルの山岳地帯にあって、
がけくずれが起きやすいが、日本の建設会社の協力で、
農場内の道は、江戸時代の日本で用いられた伝統的な舗装技術を導入し、
コンクリートを使わないようにしている。

--現地化は進みましたか?

◆35年前に事業に着手、現地スタッフには親の代から農場で働く2世も多い。
若い日本人スタッフが教えられることも。
07年、環境保全や現地化の取り組みが認められ、
「グッドインサイド」の認証を取得できた。
投資や取引の選択基準になるなど、事業にとってもプラス面が多い。
今後は、協力農家にコーヒーの苗を無償提供し、
技術指導しながら栽培をお願いする「集買事業」を進めていく方針。

--再利用やリサイクルの取り組みは?

◆コーヒーの焙煎時、豆を包んでいる薄皮が大量にはがれ落ちる。
これを家畜用の敷きわらに提供。
玩具メーカーのバンダイと協力し、薄皮を樹脂に混ぜて玩具の材料にし、
昆虫フィギュアやオセロ、自社の記念品に加工。
コーヒー豆を入れる麻袋は、タイヤのクッション材や住宅の壁材に利用したり、
福祉作業所との協力で、コースターにして記念品として配っている。

本社では紙コップを使わず、社員は「マイカップ」を持参
普段使っているマイカップとおつまみを持ち寄って、
部署を超えた交流を進める「エコパーティー」も社内で実施。
フランクに話ができる雰囲気で、今後も続けていく考え。
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◇しばた・ゆたか

慶応大経卒、87年キーコーヒー入社。総合企画室課長として、
94年の上場プロジェクトに携わったのち、96年慶応大大学院MBA取得。
02年から社長。横浜市出身、45歳。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090309ddm008020036000c.html

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