2009年10月9日金曜日

ドクターヘリ、岩手県内導入の可能性 死亡率低下に期待

(2009年10月4日 毎日新聞社)

医師らが同乗して、患者に救命医療をしながら搬送できる
「ドクターヘリ」の県内への導入の可能性を巡る議論が進んでいる。
山間地が多く、地理的に不利な条件がある県内では、
導入によって搬送時間を大幅に短縮でき、死亡率の低下が期待。
一方で、費用面や冬季の運用方法など課題も山積。
導入に向けた県内の現状を探った。

ドクターヘリは、消防機関などの要請があれば、
ヘリポートから5分以内に発進できる速さが特徴。
県が設置した有識者会議では、導入した場合、
岩手医科大を拠点病院とし、基地ヘリポートを
同大矢巾キャンパスに置くことを最有力に検討を進めている。

片道30分でほぼ県内全域をカバーし、救命救急センター
(岩手医大、県立久慈、大船渡病院)に搬送する構想。

県の調査では、3カ所の救命救急センターで119番通報から、
救急車の搬送を経て、医師が患者に接触するまで平均62分。
厚生労働省の調査では、ヘリを導入した他県は、
接触までの時間が平均27・2分短縮、死亡率が50%低下。

県医療国保課の千田利之医療担当課長は、
「面積が広大で、山間部が多い県内で導入すれば、
大きな効果が期待できる」

県は08年度以降、年間300万円の調査費を計上、
ヘリポートや格納庫などの施設整備、医師や看護師の
人員確保などの調査を実施。

現段階で浮かび上がっている課題の一つが経費。
民間業者への運航委託費は、年間約1億7000万円と試算。
国の補助制度など、実質的な県負担は年間約4300万円程度。
ヘリポートや格納庫などの整備にかかる数億円に、国の補助はない。

有視界飛行が前提のヘリの出動は、天候に左右される。
特に奥羽山脈沿いの豪雪地帯や、やませが発生する沿岸部では
現場まで到達できない可能性もある。
08年1月、東北で初めて運用を始めた福島県立医科大でも、
天候不良による出動断念が08年度は29件。

北海道では、悪天候の現場から離れた地点に着陸し、
そこで患者を救急車から引き継ぐ形で、対応。

山間地が多い県内では、着陸場所の確保が難点。
同じ事情を抱える福島では、学校グラウンドなど483カ所の
緊急ヘリポートを確保し、市町村や消防機関の協力を得て着陸。

有識者会議では、今月下旬にこれらの課題も含め、県に提言。
県側は、提言を元に導入検討を本格化。
県高度救命救急センター長で、有識者会議座長の
遠藤重厚・岩手医科大教授は、「岩手の場合、
近くに小規模病院しかない山間地でも、難しい疾患に
対応できるのがヘリ導入の最大の意義」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/10/5/108637/

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