2009年10月10日土曜日

ノーベル賞:物理学、カオ氏ら3人に 大容量通信網、基礎築く

(毎日 10月7日)

09年のノーベル物理学賞を、元香港中文大学長の
チャールズ・カオ博士(75)=英・米国籍、
元米ベル研究所研究員のウィラード・ボイル博士(85)=カナダ・米国籍=、
ジョージ・スミス博士(79)=米国籍=の3氏に授与。

授賞理由は、カオ博士が光ファイバーによる情報通信への貢献、
ボイル、スミス両博士がCCD(電荷結合素子)センサーの発明。

今日のネットワーク社会の基礎を築いたことなどが評価。
賞金1000万スウェーデン・クローナ(約1億3200万円)の半額を
カオ博士、4分の1ずつをボイル、スミス両博士が分け合う。

カオ博士は、細いガラス繊維で光を伝送する「光ファイバー」の
理論的研究に取り組んだ。
当時の光ファイバーは、20メートルの距離しか信号を送れなかった。
カオ博士は66年、不純物を限界まで減らすことで、
100キロ以上の通信が可能だと推計。

ボイル、スミス両博士は69年、CCDセンサーを発明。
アインシュタインが解明した「光電効果」(21年ノーベル物理学賞)を
応用し、物体がどう見えるかという光の情報を、
電気信号に置き換える技術で、
現在はデジタルカメラなどに広く使われている。

3氏の業績は、世界中が大容量の通信網で結ばれる
ネットワーク社会の基礎となるもの。
カオ博士は、96年に日本国際賞を受賞。

◇「光通信の父」受賞逃す

アカデミーは、カオ博士に先立つ基礎研究の一つとして、
西澤潤一・元東北大学長(83)の業績にも触れた。

西澤さんは20~30代、光通信の3要素
(半導体レーザー、光ファイバー、受光素子)を考案。
「光通信の父」と言われ、国内外の著名な賞を多数受けた。
世界最大の学会である米電気電子学会(IEEE)は、
こうした業績をたたえ、「20世紀の天才の一人」と絶賛し、
ニシザワ・ジュンイチ賞を創設。

西澤さんが所長を務めていた東北大電気通信研究所の
矢野雅文所長は、「カオ博士より、西澤先生の方が
早く業績を上げ、国際的にも認められている。
選考委員会の評価の仕方が違うのだろうか。
残念の一言に尽きる」
西澤さんは、「基本的なことは我々が成し遂げた。
(カオ博士に)おめでとうと言いたい」

http://mainichi.jp/select/science/news/20091007ddm003040084000c.html

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