(朝日 2009年10月4日)
東京が、16年夏季五輪の招致レースに「落選」、
石原慎太郎知事の求心力が低下。
招致活動だけで100億円もの税金を投入。
五輪会場予定地の新たな使い道も見通せない。
スポーツ界は、20年五輪招致に期待するが、
知事は2年後の知事選に立候補しない意向で、行く末は不透明。
IOC総会後、石原知事は招致失敗の引責辞任について
「絶対ない」と強調。
五輪招致は、知事の3期目の選挙公約。
都庁内には、「今後は何を目的にするのか。
知事の存在感はさらに低下する」
3年間の招致活動に投入した税金100億円の使途も問われる。
招致機運を盛り上げる費用として、都内全62区市町村に
年1千万円を上限に分配、世論支持率は候補4都市で最低。
五輪開催に向けて積み立ててきた4千億円の使途も
決まっていない。
第1党になった民主党の幹部は、
「招致費用はどれだけ効果があったのか疑問。
無駄遣いかどうかを追及する」
五輪用地の処理が宙に浮く恐れも。
臨海副都心にある選手村予定地(江東区)は31ヘクタール。
750億円をかけ、05年に造成した都有地。
「早く売ってしまいたいが、不況で買い手がつくかどうか」
石原知事は、20年以降の五輪招致に再挑戦する可能性に
含みを残したが、課題は多い。
不況で都税収は落ち込み、新たに巨額の招致費を支出するのは
簡単ではない。
新銀行東京の経営悪化や、築地市場の移転予定地で
有害物質が検出された問題もあり、
石原知事の支持率は一時ほど高くはない。
五輪再挑戦に、世論の支持を得られるかは不透明。
石原知事は、任期満了する11年春で引退する意向。
20年五輪の招致活動が本格化するのは、石原知事の引退後。
次の知事が引き継ぐかどうかは見えない。
「五輪招致の看板をいきなりは降ろせないのだろう。
再挑戦するにしてもしないにしても、
知事の厳しい状況は変わらない」
国内のスポーツ界は、20年招致を東京に期待。
IOC総会で敗れた直後、JOCの福田富昭副会長は、
「20年も東京に立候補してほしい」と言った。
JOCは、「言質」を取っているとの思い。
3年前の夏、東京と福岡市が国内候補都市を争った場で、
16年に失敗した場合の再挑戦について聞かれた石原知事は、
「もちろん、やりますよ」と明言。
世界を見渡すと、ローマ市長が20年への立候補を表明。
12年五輪の招致でロンドンに敗れたパリ、モスクワなども
再挑戦する可能性が高い。
JOCの竹田恒和会長は、
「(今回の招致レースで得た)財産、ノウハウをそのまま使える。
勝つための方程式を考えなきゃいけないが、
同じことをするだけで次は勝つかもしれない」
http://www.asahi.com/national/update/1004/TKY200910030362.html
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