(日経ヘルス 12月10日)
鹿児島県を中心に栽培されている「べにふうき」という
品種の緑茶に、抗アレルギー作用があり、
さまざまな研究が進められてきた。
べにふうき緑茶にショウガのしぼり汁を加えると、
抗アレルギー作用が増強されることが明らかに。
JA鹿児島県経済連主催の緑茶研究公開セミナーで、
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所、
野菜・茶機能性研究チーム長の山本万理さんが、
この臨床試験のデータを含む研究結果を発表。
べにふうきは、もともと紅茶のアッサム種に近い品種、
成熟した葉の部分に抗アレルギー作用のある
メチル化カテキン(EGCG3”MeやEGCG4”Me)を多く含む。
緑茶として価値の高い新芽や茎の部分には、少量しか含まれない。
日本で最も多く流通している緑茶品種の「やぶきた」には、
全く含まれていない。
紅茶系の茶葉を、あえて緑茶に加工するのは、
発酵させて紅茶にすると、メチル化カテキンが消えてしまう。
メチル化カテキンは、
(1)アレルゲンに対して反応するIgE受容体の発現を抑制、
(2)マスト細胞に直接入り、情報伝達たんぱく質の活性を阻害、
(3)アレルギー症状の引き金となるヒスタミンの放出を抑える、
――この3つの作用点で、アレルギー症状を抑える。
スギ花粉症のボランティアを集めて行われた臨床試験では、
被験者を2群に分け、一方にはべにふうきなどの
メチル化カテキンを含む緑茶を、もう一方にはメチル化カテキンを
含まない緑茶を飲んでもらい、症状をスコア化。
その結果、メチル化カテキンを含む緑茶群では、
鼻をかむ回数、目のかゆみ、のどの痛みの3点で、
顕著な症状の改善。
べにふうき緑茶の効果を増強する食品
(ショウガ、カイワレ大根、ブロッコリースプラウトなど)との
組み合わせを調べる試験管レベルの実験も。
マスト細胞で産生され、炎症の原因となるサイトカインTNF-αへの
影響を調べ、べにふうき緑茶が単独でTNF-α産生を40%抑制、
ショウガは単独で70%抑制、べにふうき緑茶とショウガを
組み合わせると、95%抑制する。
この実験結果をもとに、べにふうき緑茶にショウガ汁を
加えたものの飲用試験を行い、べにふうき緑茶だけのグループや
メチル化カテキンを含まない緑茶のグループに比べ、
べにふうき緑茶+ショウガ汁のグループは鼻をかむ回数や
レスキュー用に用意された抗アレルギー薬をのむ回数が減る。
メチル化カテキンの摂取量を変えて効果を調べた試験結果から、
山本さんは「1日にメチル化カテキン34mg以上を目安に摂取したい」。
これは、濃いめのべにふうき緑茶約700mlに相当。
メチル化カテキンを効率良く抽出するには、
沸騰した湯に茶葉を入れて5分以上煮出すのがベスト。
緑茶に加えるショウガのしぼり汁は、耳かき1杯ぐらい。
花粉飛散開始後からのみ始めても、効果は期待できるが、
飛散開始1カ月半前からのみ始めると、より効果が高い。
2010年の飛散開始予想日は、東京で2月10日前後。
効果のほどを試してみたい人は、年末からのみ始めるのがよい。
http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20091210/105205/
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