2009年12月15日火曜日

印テクノバ社のヨグラジ会長 「印製薬買収で競争優位に」

(日経 12月8日)

国内外の大手製薬会社が、新興国市場の開拓を急いでいる。
医療費抑制を狙う米国や欧州の市場が、急速に伸び悩んでいる。
インドも急成長が見込まれ、進出を模索する企業が増えてきた。
インド進出を支援する同国最大級のコンサルティング会社
テクノバ・インディアのアブヘイ・ヨグラジ会長兼最高経営責任者
市場成長の見通しや進出の利点を聞いた。

——市場の見通しは?

インドの医薬品市場は人口の15%、ヘルスケア分野の支出の
75%を占めるいびつな構造。
ここに来て、構造変化が急速に進んでいる。
貧困層が、安い費用で保険に加入できる仕組みが整い始め、
国民の保険カバー率は今後高まる。
最新鋭の私立病院も相次ぎ設立、患者が先端医療を受けられる
体制も整備。
政府も、ヘルスケア関連の支出を年間予算の5%
(4年前は2.5%)に増やしている」

「医療制度の充実を追い風に、2008年で140億ドルだった
製薬市場は、18年には450億ドルに膨らむと予測。
製薬会社は、大きな恩恵を受けられるだろう」

——同国市場は、急成長が見込まれ魅力が高いとはいえ、
価格の安い後発薬が台頭しており、競争激化は避けられない。
進出の利点は?

欧米の製薬大手は、主力薬の特許が切れる『2010年問題』を抱え、
後発薬との競争激化は避けられない。
それは、インドに限った話ではなく、グローバルの競争でも同じ。
後発薬の台頭を逆手にとって、現地の後発薬メーカーと
買収などで手を組む戦略があってもいい。
インドの後発薬メーカーは、後発薬の原料を大量生産し、
連携すれば安い原料を調達できる。
世界各地で、後発薬事業の展開を優位に進められる」

インドの伝統医術『アーユルベーダ』に興味を持つ海外の製薬会社も。
(西洋薬だけでは治療に使える新薬が見つけられず、)
西洋医学とアーユルベーダを融合することで、
新たな治療法を生み出せるかもしれない」

——米食品医薬品局(FDA)が生産管理が十分でないとして、
第一三共傘下の印製薬最大手ランバクシー・ラボラトリーズが、
インドの工場で生産した製品の輸入を差し止めた問題も。

「インドの後発薬メーカー全体の問題ではなく、
ランバクシー固有の問題と理解」

——日本の製薬会社でもインドに熱い視線を向け始めた。

第一三共が、2008年にランバクシーを買収するまでは、
後発薬や新興国進出など、新薬以外に事業を多角化するという
視点はほとんどなかった。
インドへの直接投資350億ドルのうち、日本分は10億ドル。
投資する企業は自動車などで、製薬会社からの投資はほとんどない。
製薬会社の投資を誘致する余地は、まだまだある」

——創業者一族が経営する企業が多く、買収しても
コーポレート・ガバナンス(企業統治)による経営権掌握が難しい例も。

「インド企業と外資が合弁を設立したうち、9割は失敗。
1つの企業で“王様”が2人いれば、経営がぶれる。
創業者一族が経営権を握るような経営は避け、完全に経営権を
掌握することが、成功がうまくいく秘訣。
日本の大手自動車メーカー、スズキは、国営自動車会社ではあるが
マルチ社と合弁会社を設立。
最終的には出資比率を引き上げ、経営の主導権を握れる。
インド企業との合弁では、株式の過半数を確保し、
経営権をがっちり握ることが重要」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091207.html

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