2008年10月24日金曜日

理系白書’08:第2部 かけ橋として/3 出会い、学ぶ広場作る

(毎日 10月19日)

科学館などの学芸員、研究機関の広報担当者、マスコミ関係者、
一般市民、そして研究者自身……。
科学や技術と社会の橋渡しに関心を持つ人たち数千人が、
一堂に会するイベントが11月22~24日、
東京都江東区青海の国際研究交流大学村で開かれる。
06年に始まり、3回目を迎える「サイエンスアゴラ」。

アゴラとは、ギリシャ語で「広場」の意味。
科学の面白さを伝える実験ショーや研究者との対話、日本の科学技術力や
人材育成をテーマにした討論会など、100以上の催し物が繰り広げられる。

「各地でさまざまな活動をしている人が出会い、情報交換する場として定着」。
サイエンスアゴラの発案者の一人で、当時、日本科学未来館副館長だった
美馬のゆり・公立はこだて未来大教授(48)は言う。

美馬さんはもともと、コンピューターの研究者を目指していた。
中学時代から数学好き。
高校で入部した数学部で、日本IBM本社を見学、
まだそれほど普及していなかったコンピューターに触れた。
「この機械は世の中を変える」と直感し、大学は計算機科学科に進学。

大学時代、米国の大学の教育用ソフトウエアを
日本語のマシンに移植するプログラマーのアルバイトをしたことが転機。
「コンピューターは、学校や教育も一変させる」と考え、
大学院では教育学に転じた。

「学び」を研究するうち、コミュニケーションの大切さに気づいた。
「人と人がコミュニケーションし、違う分野同士がつながることによって、
人は学ぶ。その楽しい学びを、みんなで共有したい」と美馬さん。
その思いが、サイエンスアゴラに結びついた。

今、美馬さんはアゴラのような試みを、
地域に根ざした形で日本各地でできないか、と考えている。
まずは、地元の北海道からだ。
函館市と連携し、科学教育イベントを企画・実施できる人材育成を目指した
はこだて科学寺子屋」、地元の大学や高専の科学イベントや出前授業などの
情報を発信する「はこだて科学網」などの事業を計画。

来年からは毎年、「はこだて国際科学祭」を開く構想。
美馬さんは、「函館の街全体を巻き込んで、科学を文化にしたい」と張り切っている。

http://mainichi.jp/select/science/news/20081019ddm016040030000c.html

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