2008年10月25日土曜日

免疫応答の強弱を決定する分子メカニズムを解明

(理化学研究所 10月10日)

「免疫」とは、体内に入り込んだ病原体や花粉などの異物を認識して
排除する防御システムのことで、体の危機管理を担当。
体内に異物が侵入すると、抗原提示細胞が異物をそれと認識して飲み込み、
「これが異物(抗原)だ」、とT細胞に提示。
提示を受けたT細胞は、免疫の司令塔としてさまざまなサイトカインを放出したり、
侵入してきた細胞を殺したり、B細胞に抗原と結合する抗体を産生させる。

この重要な働きを担うT細胞が、抗原提示細胞から抗原の情報を受け取る際、
T細胞と抗原提示細胞は強固に接着し、「免疫シナプス」という構造を作る。
しかし、免疫シナプスができあがる前に、T細胞受容体からなる
微細な集合体「ミクロクラスター」が形成され、T細胞の活性化のユニットとして
働いていることが最近わかってきた。

免疫・アレルギー科学総合研究センターの免疫シグナル研究グループは、
T細胞の補助刺激受容体CD28を含む「ミクロクラスター」を発見、
CD28が特異的な酵素「プロテインキナーゼCθ」を呼び寄せ、
T細胞の活性化を劇的に増大させることを明らかにした。

ミクロクラスターは、接着後5~10分と進むにつれて接着面の中心部に集まり、
T細胞受容体自身は不活性化され、CD28とプロテインキナーゼCθは
T細胞受容体から解離してその周辺に集まり、T細胞の活性化を維持。

CD28からのシグナルを増減させることで、T細胞の活性化を調整。
今後、アレルギー疾患やアトピー性皮膚炎などに用いられる
免疫抑制剤やがん治療に対する免疫賦活剤などの開発に貢献すると期待。

http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/081010/index.html

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