2009年1月21日水曜日

慶応大・医学教育統轄センター長 天野隆弘氏に聞く

(Japan Medicine 2008年12月22日)

問題解決型学習を重視して慶応大医学部の教育体制を変革してきた
医学教育統轄センター長の天野隆弘氏に、
ICT(Information and Communication Technology)を活用した
教育環境の次なるステップと、将来展望について聞いた。

天野氏は、教える立場にある全国の医師が、最良の授業を行えるように、
最新の知識を共有して自由に活用できる全国規模の教材データベースを
構築するのが「将来の願い」

―ICTを活用した教育環境整備は一段落ついたが、次のステップは?

天野氏 足りないものは必ずあり、教材を充実させたい。
アップルの携帯プレーヤーiPodも、初期研修医に貸し出したい。
現代GPは文部科学省予算で、あくまで学生向けだが、
医学部で購入して研修医全員に配ることも。

整形外科では10台使用、週間予定と教材をリンクさせ、
事前に学習しておくといった活用も。
内科などほかの診療科にも当てはまる。
診療科ごとに教材をクラスターのような形で利用できるようにし、
研修医が回ってきたら貸し出す、そういう体制に持っていければ。

―将来的な発展形として、考えられていることは?

天野氏 教材のデータベースを構築したい。
当学のイントラネットには教員専用のページがあり、
「講演用に作成した資料をストックしませんか」と呼びかけ。
資料は医学部の資産。
お互いがシェアして、必要な資料はすぐに入手できるようにしたい。

大学の教員が異動すると、これまではほとんどの場合、資料もなくなっていた。
引き継ぐ医師が授業の準備をするため、いちから資料を集めることになり、
合理的とはいえない。
講演資料は、マイクロソフト「PowerPoint」などで作成、それを蓄積し、
教材データベースとして運用する仕組みにすれば、
任意な部分をピックアップして教材を自由に作成することができる。

教材データベースを構築した後、法人を設立し、
全国の大学病院などを統合した総合教材データベースにつなげるのが願い。
会員制にするなどして、入会者は自由にデータベースを使えるようにする。

実現するためには、1カ所だけでは限界。
出版社なども加わればいい。
全国の指導する立場にある医師が、自由に教材を使い、
一番良い授業をできる環境が整えばいい。
悪いところは改善し、学生を教えるための画像や図などを皆で作成していくと、
教材の完成度も高まる。
皆がシェアできる教材データベースが、全国に広がればと考えている。

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/jiho/200812/trend2.html

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