(日経 1月12日)
4月に開幕する「関西独立リーグ」は、第3の独立プロ野球リーグだ。
先行した四国・九州、上信越・北陸では営業面での苦戦が続くが、
プロスポーツとしての勝算を、運営会社であるステラ(大阪市)の
中村明社長に聞いた。
—人気の吉田えり選手とキャッチボールできる福袋などが話題だ。
「一選手がアイドルのように取り上げられるのは、
正直好ましいとは思わないが、リーグが注目されるのはありがたい。
彼女の実力は、じきに試合で明らかになるが、ナックルボールの威力は本物。
一過性のブームにとどまらず、チームの戦力として育つはずだ」
「ネットでの優勝チーム予想投票でも、吉田選手が所属する
神戸9クルーズがトップ。
実力派の選手の加入などで戦力が充実しているのを、ファンは熟知。
人気や話題性だけで評価してもらえるほど、関西の野球好きは甘くない」
—同じ地盤の阪神タイガースのファン層には太刀打ちできない。
「私もタイガースファンだが、独立リーグは選手とファンが一体となり、
野球を楽しむ新しい試みだ。
『タイガースも好きだが、地元の独立リーグも応援する』、
そんな熱意が後押ししてくれる」
「4球団のうち明石レッドソルジャーズは当初、兵庫県の播磨地域を地盤とする
広域型の運営を想定していたが、首長が全面協力を申し出てくれたので、
明石のチームになった。
多くの明石市民に応援してもらえば、経営は成立する」
—先行する2つの独立リーグは、経営的に成功しているとはいえない。
「ファンの基礎票となる人口の多寡や、スポンサーになる有力企業の有無など、
都市部である関西地区との条件の違いが大きい。
先行地域で苦戦したら、独立リーグに将来性がないと判断するのは早計」
「関西リーグ始動前には、精密な経営シュミレーションを何度も繰り返した。
巨額の利益は出なくても、スポンサーを確保できれば十分に継続できる。
独立リーグ誕生に貢献した石毛宏典氏のアドバイスも受けて、やろうと決めた」
—4チーム以外への拡大構想も具体化している。
「三重県では、新チームが誕生。来シーズンから参加する予定。
京都府や滋賀県でも、チームの結成が具体化しているし、
人口の多い大阪府にはもう1つチームがあっても良い。
今シーズンの144試合で、どれだけ観客を引き付けられるかが、
リーグ拡大のカギを握る」
「首都圏リーグの設置も前向きに検討したい。
人口が集中する巨大市場だが、全国区の球団が多く、
地域密着の独立リーグがビジネスとして成立する余地は十分ある。
試算では、関西よりも可能性が高いという結果も。
関西で足元を固めながら、首都圏でのマーケティングにも力を入れたい」
—野球への思い入れはこれからも続くのか。
「私自身は、選手として野球に取り組んだキャリアは長くない。
野球に夢を抱く若者に、セ・リーグやパ・リーグにランクアップする
チャンスを提供し、健全育成に寄与する独立リーグの理念を実現
することに意味があると考えている」
「ステラの本業である情報関連事業とプロ野球球団の運営、
2つの仕事のバランスをとりながら、充実した1年を過ごすことができそう」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090108.html
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