2009年1月20日火曜日

記憶CD8 T細胞区画のサイズは免疫学的経験とともに増大する

(nature 2009年1月8日)

Nature Vol.457 No7226 / P.200-204

記憶CD8 T細胞区画のサイズは免疫学的経験とともに増大する

記憶CD8 T細胞は、病原体への自然暴露あるいはワクチン接種により生じ、
特定のウイルス感染に対して宿主を防御する。
宿主の記憶CD8 T細胞の数は決まっており、個々の細胞は
限られたスペースを常に奪い合っている、と長い間考えられてきた。

したがって、目的の抗原に特異的な記憶CD8 T細胞を
過剰に誘導するワクチンは、過去のすべての感染に特異的な
記憶CD8 T細胞を排除して置き換わるため、
宿主にとって壊滅的な結果を引き起こしかねない、と考えられていた。

この考え方を検討するために、我々は、単一のワクチン抗原に
特異性を示す新たな長期生存記憶CD8 T細胞を、
接種前の宿主の記憶CD8 T細胞数と同程度の数だけ導入する
ワクチン接種法をマウスで開発した。

本論文では、予想に反して記憶CD8 T細胞区画のサイズが倍増し、
これらの新しい細胞を受け入れるためのスペースができたことを示す。
この変化は、エフェクター記憶CD8 T細胞が
加わったことだけによるものであった。

この増加は、CD4 T細胞やB細胞、ナイーブCD8 T細胞の数には影響せず、
以前遭遇した感染に特異的な既存の記憶CD8 T細胞は
大部分が保存された。

したがって、哺乳類宿主におけるエフェクター記憶CD8 T細胞の数は
免疫学的経験に従って変化する。
新しい記憶CD8 T細胞を大量に誘導するワクチンの開発は、
ほかの感染に対する既存の免疫を
必ずしも減弱させるものではないと考えられる。

[原文]
Memory CD8 T-cell compartment grows in size with immunological experience

Vaiva Vezys 1,2,4 , Andrew Yates 3,4 , Kerry A. Casey 1 , Gibson Lanier 2 , Rafi Ahmed 2 , Rustom Antia 3 & David Masopust 1,2 1.Department of Microbiology and Center for Immunology, University of Minnesota, Minneapolis, Minnesota 55455, USA 2.Emory Vaccine Center, Emory University School of Medicine, and,3.Department of Biology, Emory University, Atlanta, Georgia 30322, USA4.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200901/nature/7226/02.html?Mg=4b8368a37fc15ffa26a1e4b3ebcfe5cc&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag

0 件のコメント: