2009年12月6日日曜日

車いすラグビーで取り戻した自信と希望 脊椎損傷の米青年

(CNN 11月23日)

コートの中をボールが素早く移動し、激しい声が飛び交う。
試合に臨む選手たちの表情は、真剣そのもの。
引き締まった肩が、日ごろの鍛錬の成果を物語っている。

タルボット・ケネディさん(24)は、強豪チーム
「スマッシュ・ラグビー」のリーダーの1人。
チームメートとともに、車いすを鮮やかに操ってボールを追う。

ウィルチェアーラグビー(車いすラグビー)は、手足にまひなどの
障害を持つ選手によるスポーツで、パラリンピックの公式種目。
スマッシュ・ラグビーは、ジョージア州アトランタの
リハビリテーション病院、シェパードセンターで結成されたチーム。
週に数回、夜間に集まって練習し、全米トーナメントにも出場。

ケネディさんが、車いすで生活するようになったのは、
高校卒業を目前にした時期。
男子チアリーディングの競技で活躍し、奨学金で大学へ
進むことも決まっていたケネディさんは、卒業式の直前、
チア練習場のトランポリンで、友人をまねて
慣れない技に挑戦、頭から転落。
脊椎損傷で、胸から下がまひする重傷。
進学の夢は消え、「この先、自立した生活ができるのか。
やりたかったことができるようになるのか」と途方に暮れた。

将来に希望が持てないまま、シェパードセンターで
リハビリに取り組んでいた3年前のある日、
ケネディさんは車いすラグビーの試合を目に。
全力で動き回り、ぶつかり合う選手たちの姿に勇気がわいた。

チームの選手は、それぞれ前向きな生活を送っていた。
一人暮らしや結婚生活、子育てを実現させているメンバーも。
「スポーツはもともと好きだったし、自分と同じ境遇の仲間と
一緒に過ごすだけで、明るい気持ちになれた。
チームは、いまや第二の家族のようなもの」

チームのコーチを務める作業療法士のエミー・ボーンさんは、
「自分がひとりではないと感じ、仲間のたくましさを
見ることによって希望が生まれる。
体が鍛えられることで、自立した日常生活も可能になる」
「車いすラグビーを通し、選手たちは新たな人生に
足を踏み出すことができるようになる」

ケネディさんは現在、一人で生活しながら、
体育教育の学位取得を目指して大学へ通う。
「車いすラグビーと出会わなければ、今の自分はなかった」――
そう語る笑顔は、スポーツマンとしての自信に満ちていた。

http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200911230016.html

0 件のコメント: