2010年6月1日火曜日

合成ゲノムで生きた細菌 人工生命へさらに前進 米研究チーム、世界初

(2010年5月21日 共同通信社)

人工的に合成した細菌のゲノム(全遺伝情報)を、
別の細菌の細胞に組み込み、生きた細菌を作ることに成功、
米国のクレイグ・ベンター博士が率いる研究チームが、
20日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表。

ウイルスを人工的に作った例はあるが、
ゲノムがより複雑な細菌での成功は世界初。
細胞膜や細胞内の物質は、人工合成していないため、
完全な「人工生命」ではないが、その実現に近づく画期的技術。

チームは今後、バイオ燃料を製造したり、有害物質を分解したりする
有用な微生物作製を試みたい。
人工的な生物を、環境中で利用した場合、ほかの生物や
自然環境に、どのような影響を与えるのか未解明な点が多い。
生物兵器開発に利用される恐れも指摘、規制を求める声も強まりそう。

作製したのは、遺伝情報として約100万個の塩基対を持つ
「マイコプラズマ・ミコイデス」という、細菌とほぼ同じゲノムを持つ細胞。

チームは、ミコイデスのゲノムの設計図を基に、
千塩基対程度の短い情報を持ったDNAの断片を、化学的に合成。
DNA断片を、大腸菌や酵母菌に組み込んでつなぎ合わせ、
完全なゲノムを合成。

「マイコプラズマ・カプリコルム」という別の細菌を、
特殊な液体に入れ、本来のゲノムを失わせ、
そこに合成ゲノムを移植。

カプリコルムの細胞内で合成ゲノムが働き始め、
細胞の自己複製が始まった。

この細菌の外見は、正常なミコイデスに似ていたほか、
ミコイデスと同じタンパク質しか生成しなかった。
ベンター博士は、ヒトゲノム解読で国際共同チームと
競ったことで、有名な科学者。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/21/120600/

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