(読売 5月20日)
炊きたての米の香りが食欲をくすぐる給食室。
いくつもある大きな電気炊飯器を、
子どもたちが自分たちの教室へと運ぶ。
高知県南国市では1998年度から、全13の市立小学校で、
炊飯器を使ってご飯を炊いている。
「なぜ、地元にある田んぼの米を、給食で使っていないのか」
炊飯器でご飯を炊く給食は、元市教育長の西森善郎さん(76)が
抱いていた疑問が出発点。
米飯給食は、余剰米の消費拡大を目的に始まったため、
今でも学校給食に安いブレンド米を使うことが多い。
以前の南国市も例外ではなく、地元産米の導入には、
コスト高の問題や流通経路の見直しなど多くの障壁。
西森さんは、地元の中でも中山間地域の棚田でとれる米に、
購入先を限定する仕組みを考案。
これらの棚田で、子どもたちに米作りを体験してもらい、
同時に、高齢化に伴う離農や耕作放棄地の増加に
歯止めをかけようという一石二鳥の対策。
導入が決まった地元産米をおいしく食べるため、
学校ごとに炊飯器で炊くことにした。
それまで業者が炊いていたが、配送の段階で冷めてしまうことも。
地産地消の炊飯器給食は、「南国方式」とも呼ばれ、
各地から関係者が視察に訪れるように。
導入後、目立った効果の一つが食べ残しの減少。
同市立後免野田小学校では、給食を食べ残した量の割合が、
2004年度の3・3%から、09年度は0・8%にまで下がった。
6年生の竹内佐也加さん(11)は、「お弁当のご飯と比べて、
炊きたてはもっちりしていて、おいしい」
人気の献立は、ご飯に合う魚の干物など和食系が多い。
温かい白米ならば、なおさらはしが進む。
同小の石川利恵・栄養教諭(41)は、「主食の献立希望を尋ねると、
親子丼でもチキンライスでもなく、『白いご飯』をリクエストする児童も」
食育への熱意で始まった地産地消の給食が、
子どもたちの支持を集めている。
◆メモ
第2次世界大戦後の食糧難の時代、米国が日本の子どもの
栄養状況を改善するため、援助物資で小麦を支給。
これがきっかけで、パンを主食とした給食が全国に広まった。
米飯の正式導入は、1976年。
食の多様化による米の消費低迷に伴い、余剰米の消費拡大と
和食回帰を狙った国が、米飯使用を学校現場に呼びかけた。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100520-OYT8T00192.htm
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