2010年6月2日水曜日

紫外線 日焼けから身を守る 白内障の原因、免疫低下も/日焼け止めは十分な量を

(2010年5月21日 毎日新聞社)

都内の大学に勤務する女性(29)は、日焼けを避けるため、
夏も長袖を着て通勤。
日焼け止めのジェルを手放さず、指先が出る手袋を着用し、
首にはストールを巻くほどの念の入れよう。

「暑くないの?」と同僚からよく聞かれるが、
「暑いけど、日焼けはシミなどの原因に。
中学時代は水泳部だったので、将来を考えると、
これ以上、日焼けしたくない」と決意は固い。

日焼けした「小麦色の肌」はかつて、健康美の象徴。
80年代ごろ、シミやしわなど肌の老化原因になることが知られ、
98年、母子手帳から日光浴を勧める記述が消えた。

日焼けの原因は、太陽の紫外線。
化粧品メーカー「資生堂」の元学術室長で、日焼けについて
研究している長沼雅子・武蔵野大看護学部非常勤講師は、
紫外線が強いのは、春分から秋分にかけて。
特に真夏の暑い日より、気候がよく屋外で遊ぶ機会の多い
4~5月と梅雨の晴れ間が要注意」

人体は紫外線を浴びると、皮膚の細胞のDNAに障害を受け、
それを修復しようとして血管を太く拡張。
皮膚の細胞は、メラニンという黒い色素をたくさん作り、
紫外線から肌を守ろうとする。

日焼けは最初は赤っぽくなり、その後に黒っぽくなる。
DNAに障害を受けた皮膚細胞は、
1週間ほどではがれ落ち、皮がむける。

長沼さんによると、意外にも男性の方が女性より
紫外線に対する感受性が高い傾向。
「赤くなりやすい人は、より注意が必要」
日焼け以外に、紫外線が白内障の原因になったり、
人体の免疫を低下させることも分かってきた。

環境省の紫外線対策マニュアルでは、
・最も強くなる正午前後の外出を避ける
・日陰を利用する
・日傘や帽子を使用する
・衣服で肌を覆う
・サングラスを掛ける
・日焼け止めを利用する

紫外線は、空気中で散乱されやすく、四方から照射されるため、
長沼さんは、「日傘や帽子での予防には限界がある」
つばの長さが7cmの大きな帽子をかぶっても、
紫外線防止効果は6割ほど。

衣服で覆うのは効果的だが、暑すぎると熱中症などの危険。
薄手で、風通しのよいものがよい。
常に露出している顔面の対策には、紫外線を吸収したり
散乱させる日焼け止め(サンスクリーン)が有効。

日焼け止めには、波長の異なる2種類の紫外線によって、
SPF値とPA値の二つの防止効果指標がある。
SPF値は数字が大きいほど、PA値は+の数が多いほど
防止効果が高く、生活場面によって使い分けるとよい。

日本化粧品工業連合会の目安によると、散歩や買い物などでは
SPF20以下でPA+、炎天下でのレジャーやスポーツでは
SPF40-50でPA++-+++が適当。

長沼さんは、「日焼け止めを塗っても、量が足りない人が多い
SPF値やPA値は、皮膚1cm2当たり2mgの薬剤を塗った場合の目安。
(1)手のひらに1円玉大の日焼け止めをとる
(2)額、鼻、あご、両ほおの5カ所に分けて日焼け止めを置き、
そこから周囲に伸ばす
(3)少し乾いたら、これをもう一度繰り返す--という塗り方を推奨。

ファンデーションに、紫外線防止効果は期待できない。
外出目的に合わせ、いくつかの対策を組み合わせて」

◇光化学スモッグを誘発

太陽紫外線は、大気中の排ガスなどに化学反応を起こし、
オゾンなどの有害な光化学オキシダントを発生。

環境省大気環境課によると、5月3日の栃木県を皮切りに、
千葉、埼玉、東京、佐賀、長崎の各都県で、
光化学オキシダント注意報(光化学スモッグ注意報)が出され、
佐賀県唐津市では4人が目の痛みなどを訴えた。
近年は発令地域が拡大傾向、09年は山形、鹿児島両県で
初めて発令されるなど、過去最多の28都府県に広がった。

日差しが強く、風の弱い日は、光化学オキシダントが局所に集中、
光化学スモッグとなりやすい。
同課は、「注意報が発令されたら、すぐに屋内に退避し、
窓を閉めてほしい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/21/120591/

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