(毎日 5月18日)
4月21日、日本バスケットボール協会の麻生太郎会長は、
男子日本リーグ(JBL)の伊藤善文理事長、
プロのbjリーグ・河内敏光コミッショナーと、両リーグを統合した
「次世代型トップリーグ」の2013年度設立に向けた覚書に調印。
05年の分裂で、たもとを分かった両リーグ。
男子バスケット界が一つになるための課題を探った。
bjの河内コミッショナーは、首をひねった。
「ビジネスとして考えると、一番のアピールのしどころなんだから、
3人そろって会見すればいいのに。
bjなら、ああいうやり方はしないな……」
4月21日の調印式後。
3者を代表して、協会の木内貴史専務理事が会見後、
報道陣の要請で、急きょ河内コミッショナーの会見が設定。
合意したはずの3者がそろった会見は、開かれなかった。
木内専務理事は、「今から思えば、(そろって会見を)すればよかった」
だが、ある協会関係者は打ち明けた。
「全員が賛成した船出ではないから」。
組織の体質、考え方の“溝”が垣間見えた一場面。
協会はこれまで、「bjリーグと協会は無関係」との立場で、
新たなプロリーグ創設の道を模索。
日本リーグからスーパーリーグと名前を変え、
07年からは現在のJBLに衣替え。
プロチームの新規参入を認め、プロと既存の企業チームが混在する
「オープンリーグ」に形態を変えたが、地域密着を掲げてチーム数を
増やし続けるbjは、各地で人気を集め、無視できない存在に。
日本協会にも、分裂状態が続くことを問題視する声があり、
08年、協会は両リーグの関係者を交え、
「トップリーグのあり方検討委員会」(深津泰彦委員長)を設置。
昨年2月、国際連盟のボブ・エルフィンストン会長に
早期解決を求められた。
今年3月、ついにリーグ統合を目指すことで合意。
調印式は、男子バスケットの「雪解け」を告げる瞬間。
単にリーグを統合しても、独立採算のプロと親企業の
バックアップで成り立つ企業チームとでは、運営の形式が異なる。
検討委の答申では、参加チームについて、
「自律的に事業運営が行えること」とした上で、企業チームには
「(親企業からの)分社化」を原則として求めている。
深津委員長は、「分社化の形態については今後、議論の余地がある。
興行権を各チームが持ち、自主運営すること。ここは譲れない」
検討委の答申に、「プロ」という言葉こそ出てこないが、
協会が再びプロ化にかじを切った。
魅力的な試合を見せて競技の普及、振興を図る。
その方針に、バスケット界の異論はなく、リーグ統合に「総論は賛成」。
が、「各論」となると、解決すべき問題は多い。
JBL吉田長寿専務理事は、「(新リーグ設立の)趣旨には賛同している」、
企業チームについては「賛同を得られているわけではない」
依然として、プロ化を望まない企業の抵抗感は根強い。
bj側も、数チームが黒字化に成功しているが、発足後5年たった今でも、
完全に赤字体質から抜け出せたとは言い切れない。
ある協会幹部は、「bjリーグの運営会社は、
約11億円の累積赤字を抱え、赤字のチームも多いと聞く。
本当にやっていけるのか」
その不安が現実となった。
14日、四国から流れてきたニュースは、bj・高松ファイブアローズの破産。
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◆男子バスケット界分裂
日本協会は92年、日本リーグのプロ化などを視野に
「活性化検討委員会」の設置を決め、01年「スーパーリーグ」発足。
企業チームの反発もあって、プロ化は進まなかった。
企業チームが休廃部して発足した「新潟アルビレックス」、
「さいたまブロンコス」が協会を脱退、05年プロのbjリーグを設立。
協会はbjを認めず、bj所属選手は日本代表にも選ばれない状態が
続いてきたが、リーグ統合に向け、協会登録選手として認める。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/05/18/20100518ddm035050095000c.html
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