2010年6月5日土曜日

当世給食事情(8)プロが調理、味覚育てる

(読売 5月22日)

「おいしいものをいっぱい見つけられますように。
アーメン。いただきます」
同志社小学校で、新入学1年生の初めての給食が始まった。

彩り豊かな料理に、目を輝かせる子どもたちを見守るのは、
シェフ服を着たプロのコックたち。
「しっかりと食べてくれるかどうか、毎日確認しているんです」

2006年4月開校の同小では、開校以来、
グランドプリンスホテル京都に、調理など給食事業を委託。
毎日、同ホテルの調理人5人が校内にある調理室を訪れ、
前日に仕込みを終えた食材を持ち込んで、給食を作っている。

献立は、和食、洋食、中華の3種類がほぼ日替わり。
4月は、アジの竜田揚げ、フルーツ入りキーマカレー、
マーボー豆腐といった具合。
月に1回、京野菜や上賀茂の農園でとれたイチゴを使った
「地産地消献立の日」を設けるなど、地場産の旬の食材も盛り込む。

「一流ホテルのシェフが作る給食は、本物を知る教育の一環」
同小の奥野博行副校長(60)。
保護者が負担する給食費は月額約1万円と、
公立小学校の全国平均(約4000円)の2・5倍、
食材費だけ見ると、それほど高いわけではない。

調理を担当する小林宏行さん(50)は、調理師歴30年。
同ホテル宴会部門の調理責任者を務めてきた。
「ハンバーグに、オニオンをじっくり煮込んで甘みを出したソースを
添えるなど、ホテルならではの味にこだわっている」

栄養管理を担当し、調理師と栄養士の資格を持つ
大村明香さん(26)は、「当初は、エネルギーや脂質が多くなった
メニューもあったが、試行錯誤を重ねながら、
塩分を抑えるなど、味付けや量で調整して、
栄養バランスを図っている」と苦心。

「豪華給食と騒がれ、困惑した時もあったが、
子どもたちの姿を見れば、狙いを分かってもらえるはず」と奥野副校長。
教育のプロと食のプロが、互いに連携し、
子どもたちの豊かな味覚を育てたい」と力を込める。

◆メモ

私立の給食は、人件費、施設費などの公的助成がないことなど、
小学校33.3%、中学校8.4%と少ないが、
実施校では特色を出していることが多い。
ホテル・レストラン業者による給食は、同志社小のほかにも、
立命館小学校が大津プリンスホテル、
慶応義塾幼稚舎がホテルニューオータニの子会社に委託。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100522-OYT8T00261.htm

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