2011年6月26日日曜日

香港…走る「薬物防止教室」

(読売 3月31日)

香港島中心部の「軒尼詩道官立小学校」。
校門前に止まるトラックのコンテナで、青少年の薬物防止教育に
取り組む、民間団体「生活教育活動計画」の授業。

この日の対象は、同小6年生。
若い女性講師が、「友人に薬物使用を勧められたら、どう断りますか?」
と聞くと、子どもたちは「話題をそらす」、「すぐに友人と別れる」と
元気よく答えていた。

トラックは、同団体の専用車両。
コンテナ内には、テレビや人体模型のほか、人形劇のための設備も。
同小の呉嘉儀校長は、「子どもたちの記憶に残る授業をしてくれるので、
大変助かる」と評価。

同団体は、1994年設立。
薬物防止教室を依頼する小中学校は徐々に増加し、
現在は香港の全小中学校の2割弱の約200校が利用。

背景には、急速に広がる小中学生の違法薬物使用がある。
香港政府が、2010年に発表した統計によると、
違法薬物を使用した経験のある中学生は4・3%、
4年前の前回調査より3割増加。

日本で深刻化する「ケタミン」と呼ばれる合成麻薬の使用問題が、
香港では小学生の間でも起きている。

国際都市で、中国本土や国外から薬物が比較的入りやすいことが
主な原因と言われ、同団体の程慧玲代表は、
共働きの家庭が多く、親の監視が届かない香港独特の
社会環境も大きい」と指摘。

香港政府は、中毒者の更生施設を増やしたほか、
学校による生徒への尿検査実施も検討。
尿検査は行き過ぎ、との批判も多く、対策強化の行方は定かでない。

程代表は、「家庭、学校、社会が一体となって、
はじめて薬物使用が根絶できる」と強調。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/jijou/sekai/20110331-OYT8T00328.htm

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