2011年6月26日日曜日

心のケアに津波資料館 記憶と向き合う場必要

(2011年6月14日 共同通信社)

東日本大震災の被災地、名取市に住む
心療内科医の桑山紀彦さん(48)が、「津波祈念資料館」の設立を目指し、
津波の映像や証言を集めている。

被災者が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などから立ち直るには、
津波の記憶を忘れるのではなく、記憶と向き合う必要があるといい、
被災者の「心のケア」に役立てる目的。

桑山さんは、岐阜県出身。
山形大学を卒業後、20年にわたって国内外の被災地や紛争地などで
心のケアに携わってきた。

2009年から名取市で開業、5月に新たに訪れた患者は40人で、
通常の5倍に達した。

桑山さんは、津波の被災者について、「自分の身に何が起きたのか
語りたくても語れず、自分の中にため込んでしまう人が増えている」

PTSDになると、不眠や精神的不安のほか、心の傷となっている
衝撃的なシーンを繰り返し思い描いてしまう。
津波被災者がその状態を改善するには、地震発生から避難、
その後の生活までを、その時々の感情も含めて
連続して語れるようになるのが必要。

資料館では、写真や動画などを見て当時の記憶を思い出し、
自分の身に起きたことを語ってもらい、その証言をビデオで撮影。
桑山さんは、「形として残すことで、記憶に折り合いをつけて
前に進めるようになる。
残した証言は、他の被災者にとっても、
自分もこう話して良いのだという見本になる」

がれき処理なども徐々に進むが、桑山さんは、
「津波の名残はなくなっても、記憶は消えない」
街は復興していくのに、自分だけ前に進めないまま取り残されていく感覚が
被災者に残ってしまうこともあり、「単に町を直すだけでなく、
そこで暮らす人の心も復興させないとならない」と、
心のケアの重要性を訴えている。

桑山さんが代表理事を務めるNPO法人「地球のステージ」で、
資料や証言を受け付けている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/14/137937/

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