2011年7月5日火曜日

養護教諭(3)高校生に予防接種説く

(読売 4月29日)

茨城県神栖市にある県立波崎高校。
2月上旬、普通科2年A組のホームルームでは、
長谷川純子・養護教諭(38)が、はしかと風疹の説明。

「風疹は、妊娠中にかかると流産のほか、赤ちゃんに障害が生じる
恐れがあり、はしかは、母子ともに命を落とすこともあります」
生徒たちは、きょとんとした様子だったが、

長谷川教諭が、「はしかと風疹の予防接種は2回必要ですが、
みんなの中には受けていない人や1回のみの人もいます」と告げると、
真剣に資料を読み始めた。

この日は、接種対象者の中学1年生と高校3年生には
自宅に通知が届くことや、予防接種を受けたことを
入学条件とする大学があることも学んだ。

船倉亜結美さん(17)は、「病名を聞いたことはあったが、
具体的な症状も予防接種があることも知らなかった。
怖い病気と知り、予防接種を受けようと思った」

はしかも風疹も、予防にはワクチン接種が有効とされ、
かつては乳児期に1回接種。
免疫が少ない10~20代の若者の間で、はしかの大流行がたびたび発生。
1回の接種では不十分だと分かり、今では2回行われている。

4年前に流行した時、同高で、はしか患者は出なかった。
高熱が出ても病院に行かずに登校し、「具合が悪い」と
保健室に来る生徒が何人もいた。
予防接種の通知をよく分からず、捨てた生徒もいた。

長谷川教諭は、「感染力が強く、命にかかわる可能性もあるのに
理解が足りない」と痛感。

ワクチン接種は、対象者が医療機関に行く「個人接種」の自治体が多い。
長谷川教諭は市に現状を訴え、2009年度から同高を含む
市内の3高校で校内での「集団接種」を始めた。

担任教諭の協力を得て、各クラスを回って病気の知識や
予防接種の大切さを伝え、学校側が生徒から予診表の回収も行った。

この結果、同高3年の接種率は09年度は94・0%となり、
同年度の全国の高校3年の77・0%(厚生労働省調べ)を大きく上回った。
同高は、10年度には100%を達成。

国立感染症研究所の小児科専門医・竹田誠氏は、
「はしかや風疹は、ワクチン接種を受けないリスクが大きい。
副反応やアレルギーは、医師に相談すれば大丈夫であることなど、
学校現場で正しい情報を伝える必要がある」

養護教諭の指導が、生徒たちの予防意識を高めている。

◆メモ

はしかの予防接種は、法律で努力義務と位置付けられている。
以前は、幼児期に1回だけだったが、2006年度にはしかと風疹の
混合ワクチン(MR)の2回接種が始まった。
免疫が少ない場合が多いため、経過措置で中学1年と高校3年への
追加接種が行われている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110429-OYT8T00175.htm

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