2011年7月3日日曜日

養護教諭(1)保健室登校の生徒導く

(読売 4月27日)

東日本大震災から3日後の3月14日。
岩手県岩手町立沼宮内中学校では、余震が続く中で卒業式が行われた。
卒業生の中に、不登校だった3年生の女子生徒の姿が。

女子生徒は約1年半ぶりに、保健室に寄らずに、
自ら自分のクラスに登校した。
地震で断水して食事をとれなかったせいか、式の最中に貧血を起こしたが、
「最後まで出る」と退席せず、保護者らに見守られる中、同級生と共に卒業。

「本当によかった」。
古井美恵子・養護教諭(51)は涙をぬぐった。

女子生徒は、2年生になってから不登校に。
冬になると時々、保健室に来るようになったが、
姿を見せるのは午後になってから。
来ない時は、担任が保護者に連絡し、「待ってるよ」というサインを伝えた。
プレッシャーを与え過ぎないよう、心がけた。

クラスに入れない生徒が学習できる部屋もあるが、
本人の希望で保健室での学習も認められている。
「人の出入りがあり、来室した先生や生徒とちょっとした会話を
交わすことができる。
それは、本人にとっては大きな一歩」と、古井教諭。

これまでに、不登校、保健室登校を経てクラスに戻った生徒も。
この生徒は、家庭訪問を重ねるうち、友人関係などで
悩みを抱えていることが分かった。
「学校はどうでもいい」と言う一方で、「できればクラスに戻りたい」とも。
古井教諭は、「まずは校門まで来てみたら」と提案。
学校が無人となる夜、生徒に付き添って学校に行った。

保健室登校した生徒には、1日の様子を記録。
生徒が小さな成長に気付き、その自信がクラスに戻る大きなカギに。
本人と話し合い、目標を決めて実行させる。
女子生徒の場合も、「卒業式に出る」という目標は決めていた。

宇部幸治校長(58)は、「古井先生は、見逃しがちな子どものサインや
誤った対応も指摘してくれる」と評価。

卒業式の日の夜、古井教諭のもとに、女子生徒から長文のメール。
「古井先生のおかげで卒業できました。
高校もちゃんと卒業します。ありがとうございました」

巣立ちの陰に、養護教諭の支えがあった。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110427-OYT8T00345.htm

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