2011年7月3日日曜日

花粉症の"源"構造解明 副作用少ない治療薬も 京大、細胞膜タンパク質

(2011年6月23日 共同通信社)

花粉などの刺激により、体内で放出された炎症物質と結合し、
花粉症などのアレルギー症状を引き起こすタンパク質
「ヒスタミンH1受容体」(H1R)の立体構造を、
京都大や九州大、米スクリプス研究所のチームが世界で初めて解明、
22日付英科学誌ネイチャー電子版。

H1Rは、花粉症の治療薬が作用する標的タンパク質。
チームの島村達郎京大特定講師は、「この構造を基に、効率的に副作用を
少なくする抗ヒスタミン薬の開発が可能になる」

くしゃみや鼻水などのアレルギー症状は、体内のヒスタミンなどの炎症物質が、
細胞膜にあるH1Rに結合して引き起こされる。

花粉症を治療する抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンがH1Rに結合するのを阻止し、
症状を抑えている。
抗ヒスタミン薬は、H1R以外の受容体にも結合しやすく、
眠気や口の渇き、不整脈などの副作用も起こす。

チームは、H1Rを酵母を使って大量に精製。
細胞膜に似た環境をつくって結晶化し、
エックス線を用いた構造解析で解明。
H1Rの立体構造を明らかにし、結合部分の分子レベルの"形"を
突き止めたことで、H1Rにだけ結合する治療薬の設計が可能に。

膜タンパク質のH1Rは、水になじむ部分と油になじむ部分があり、
水に溶けやすい細胞内のタンパク質と違い、
タンパク質の精製や結晶化が難しく、立体構造が解明されていなかった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/23/138307/

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