2008年11月7日金曜日

1型糖尿病の発症における自然免疫と腸内細菌叢

(nature 2008年10月23日号Vol.455 No7216 / P.1109-1113)

1型糖尿病の発症における自然免疫と腸内細菌叢

[原文]Innate immunity and intestinal microbiota in the development of Type 1 diabetes

Li Wen1,7, Ruth E. Ley2,7,8, Pavel Yu. Volchkov3,7, Peter B. Stranges3,4, Lia Avanesyan3,4, Austin C. Stonebraker4, Changyun Hu1, F. Susan Wong5, Gregory L. Szot6, Jeffrey A. Bluestone6, Jeffrey I. Gordon2 & Alexander V. Chervonsky3,4

1.Section of Endocrinology, Yale University School of Medicine, New Haven, Connecticut 06520, USA 2.Center for Genome Sciences, Washington University School of Medicine, St Louis, Missouri 63108, USA 3.Department of Pathology, University of Chicago, Chicago, Illinois 60637, USA 4.The Jackson Laboratory, Bar Harbor, Maine 04609, USA 5.Department of Cellular and Molecular Medicine, School of Medical Science, Bristol University, Bristol, BS8 1TD, UK 6.Diabetes Center at the University of California San Francisco, San Francisco, California 94143, USA 7.These authors contributed equally to this work.8.Present address: Department of Microbiology, Cornell University, Ithaca, New York 14850

1型糖尿病(T1D)は、T細胞がインスリン産生β細胞を破壊することで発症する、
消耗性の自己免疫疾患である。

先進国におけるこの病気の発症率が、過去数十年間に増加していることは、
ヒトがもつ微生物環境を含めた環境変化が
疾患の病因に影響している可能性を示している。

非肥満糖尿病(NOD)マウスにおける自然発症性T1Dの発症率は、
飼育施設の微生物環境や、マイコバクテリウムあるいは
各種の微生物製品の投与のような、微生物刺激への曝露によって
影響を受けることがある。

今回、MyD88タンパク質(微生物刺激を認識する複数の自然免疫受容体に
対するアダプター分子)欠損NODマウスで、特定の病原体を含まないものは、
T1Dを発症しないことを明らかにする。

無菌のMyD88欠損NODマウスは、強い糖尿病を発症するが、
この無菌MyD88欠損NODマウスにヒトの腸内に通常存在する
微生物門に相当する特定の微生物群を定着させると、T1Dが軽減するため、
この作用は共生微生物に依存している。

MyD88の欠損によって、腸遠位部の微生物叢の構成が変化すること、
特定の病原体を除去したMyD88欠損NODドナーマウスの微生物叢に、
無菌NODレシピエントマウスを曝露するとT1Dが軽減されることを示す。

これらの知見は、腸内微生物と自然免疫系との相互作用が、
T1Dの素因に影響を与える重大な後成的因子であることを示している。

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200810/nature/7216/01.html

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