2008年11月5日水曜日

第2部 かけ橋として/5止 「面白さ」、より身近に

(毎日 11月2日)

「わ、浮いてる」
スペースシャトルをかたどった模型が磁石の上から数ミリ浮き上がると、
見ていた高校生たちから声が上がった。
低温になると、電気抵抗がゼロになる超電導現象を利用し、
リニアモーターカーの原理を説明する実験。

「中の超電導体はどんなものですか」、
「なぜ超電導が起こるのですか」と質問が飛び、
解説役の大学生が紙に図を書きながら説明。

福島県の郡山市ふれあい科学館で、同館と新潟大工学部が共同で開いた
科学教室に、県立福島高校の1、2年生約30人が訪れた。
同校は昨年、理数教育を重点化する文部科学省の
「スーパーサイエンスハイスクール」に指定

希望する生徒向けに週1時間、理科や数学の発展的な授業や実験をする
「探究クラス」を、1、2年生に設けている。
その一環として、生徒による科学教室を同館で開く計画を立てた。
1年生を担当する橋爪清成教諭(理科)は、
「生徒たちには、常に外の社会を見る姿勢を身に着けてほしい。
地域にも貢献したい」と、狙いを話す。

先輩格の新潟大の取り組みに「弟子入り」した高校生たちは、
環境中の放射線を測定したり、地震で起こる液状化現象を再現する
実験などを体験。

科学館の職員や大学生らに「科学を伝えるコツ」を尋ねて回った。
超電導の実験で熱心に質問していた1年の男子は、
「どんな質問にも答えられて、すごい。準備が大切だと思った」。
別の1年の男子は、「写真や図を使い、難しい言葉を使わずに
説明すると伝わりやすい。なんとかできそう」と自信を持った様子。

橋爪教諭も、学生に同行した今泉洋・新潟大工学部副学部長から
「相手によって、説明の仕方や使う言葉を変えなくてはいけない」と
アドバイスを受けた。
「小学生に分かる説明ができればいいと思っていたが、
それだけじゃだめなんだ」とうなずいた。

こうした取り組みに、科学館側も「幅広く科学の面白さを知ってもらえる。
相手が高校生なら気軽に質問できる利点もあるのでは」(厚海一夫事業課長)と期待。
科学館と中学校や高校との同様の連携は、
静岡県や岡山県などでも行われている。

福島高校の生徒たちのデビューは12月。
橋爪教諭は、「将来的には、学校のある福島市内でも科学教室を
定期的に開きたい」と意気込んでいる。

http://mainichi.jp/select/science/rikei/news/20081102ddm016040055000c.html

0 件のコメント: