2008年11月2日日曜日

脳血管疾患、血液検査で早期発見 岩手医大教授

(岩手日報 10月29日)

岩手医大解剖学講座の人見次郎教授(50)は、
血液検査で、脳卒中や脳梗塞などの脳血管疾患の危険性を
発見する技術を確立。

血管が詰まる血栓になる前の段階でリスクを突き止めることで、
予防につながるとともに、合併症などの早期対処も可能。

人見教授は、医薬品開発メーカーなどと共同研究を進めており、
3年後の2011年の実用化を目指す。
実用化されれば、日本人に多い脳血管疾患を予防する
国内初の技術として注目を集めそう。

人見教授は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の
イノベーションサテライト岩手の育成研究報告会で、この技術を発表。

人見教授は、JSTの助成を受け2006年から研究をスタート。
脳梗塞の主因の一つで、内頸動脈硬化症の患者を対象に、
血液中のタンパク質と血液細胞の遺伝子を解析。

この結果、臨床検体を収集し88検体の病理標本を作製、
臨床情報を加えデータベースを構築した。
内頸動脈硬化症患者と、健常者を区別する血清中の分子(診断マーカー分子)を
発見し、今年9月に特許を出願。

血液細胞中から、内頸動脈硬化症患者と健常者を区別する
72の遺伝子も見つけ、現在、特許取得の準備を進めている。

人見教授は、「脳卒中など脳血管異常はこれまで、磁気共鳴画像装置(MRI)などで
血栓を発見してきたが、今回の研究はMRIなどに比べて医療費が安い検診により、
血管異常のリスクを把握できる」と強調、
「今後は大手診断薬企業に入ってもらい、診断薬試作、臨床試験、
製造販売を目指す」。

研究は、岩手医大、医薬品研究開発のバイオス医科学研究所(神奈川県)、
東北化学薬品の生命システム情報研究所(盛岡市)、
試験薬・分析機器メーカーのバイオ・ラッド ラボラトリーズ(東京都)の
4者で進めてきた。

バイオス医科学研究所の浦上研一社長は、
「(この技術・特許は)国内での競合は存在しない。
現在、脳血管にかかわる診断薬はなく、100億円市場と予測。
診断薬を来年にかけ試作し、岩手医大で臨床試験を行い、3年かけ事業化したい」

◆小笠原邦昭・岩手医大脳神経外科学講座教授の話

血栓が飛ぶかどうかの可能性を、早期に判別できることが画期的。
手術前に脳血管の異常が分かれば、
現場としては合併症を防ぐための対処ができる。

本県の脳血管疾患の状況とは 厚生労働省の人口動態統計によると、
脳梗塞のほか、脳内出血やくも膜下出血などを含む脳血管疾患の死亡率は
全国1位(2005年)。06、07年も2位と高い。
脳梗塞で亡くなった人数は、近年は05年の1404人をピークに1300人台。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081029_3

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