(読売 11月11日)
学生が主体になって、教職員と授業改善に知恵をしぼる場がある。
「大学に長く勤める事務職員の方に、キャンパスの隠れた名所を
教えてもらう授業はどうだろう」、
「自信のある目玉授業を持ち寄ってコンテストを開いてみては」
岡山大学の講堂で、班を代表して壇上に上がった学生が
10分間で企画案を説明する。
学生や教職員らは、ほかの班の発表を熱心にメモしながら、
「予算はどの程度の額か」などと、具体的な質問を投げかける。
大学教育の改善を目的に、他大学の学生や教職員とも交流するイベント。
5回目の今年は、新潟大、静岡大など全国の国公私立17校から
約60人の学生と教職員が参加。
午前中、5~6人の小グループで議論を始め、
午後からは10人程度の大グループに再編、企画案をさらに詰めた。
昼食を挟んでの議論は5時間を超えた。
岡山大では7年前、授業改善を目的に、各学部から推薦された
学生と教授らによる「学生・教職員教育改善委員会」ができた。
学生が新入生向けの履修相談会を開くなど、学生主体の改革を進める一方、
他大学まで波及することを期待して始まったのが交流イベント。
学生のアイデアが基になって、コンビニエンスストアを多角的に分析する授業が
始まるなど、成果も表れている。
委員会で教員代表を務める橋本勝教授(53)は、
「初対面の人同士で何ができるか。
学生には、何かをやったという達成感が重要。
他大学の学生にも感じ取ってもらえることがあるはず」
議論するグループは、学生と教職員の混成だ。
互いの立場から、大学や授業、学生に対しての率直な気持ちを語ってもらい、
議論に深みを出そうとしている。
ある小グループでは、6人がテーブルを囲むと、1人の学生が
「教授1人に学生が300人。これでは授業は変わらない」と口火を切った。
「大学教育に、まず学生が興味を持たなければ」と学生が発言すると、
教員の1人は「問題意識は教員側も同じ。学生の学ぶ意欲を引き出したいが、
何事も、できるまではつまらないと感じて当然では」と応じた。
参加した学生の反応は良好だ。
早稲田大学教育学部2年の小川昌樹さん(19)は、
「他大学の人と交流を持てる機会は案外少ない。貴重な経験だった」。
静岡大学工学部3年の森野秀朗さん(22)も、
「今後も大学の枠を超え、学生が参加したくなる面白い授業を考えていきたい」
イベントの最後、実行委員長の岡山大学薬学部2年、安藤誠さん(20)が
「教育改善とは何か。すぐに答えを出すのは難しいが、
自分から学ぶ楽しさを追求することが大事だと思う」と話すと、
講堂に大きな拍手が起きた。
学生と教職員が力を合わせ、大学の可能性を探る。
地道な取り組みの先に、理想の大学や授業の形は見えてくるはずだ。
◆学生・教職員教育改善委員会
11の各学部を代表する学生ら37人と、教職員19人で構成。
授業改善、システム改善、学生交流のテーマごとに作業部会を作り、
週1回程度活動している。
システム改善の作業部会では、学生が学びやすい環境整備のため、
老朽化した学内設備の見直しや、科目を履修する際の
抽選方法のあり方なども議論。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081111-OYT8T00217.htm
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