(読売 11月12日)
遠く離れた他大学の協力を得て、語学教育を充実させる大学がある。
外壁はピンク色、中の床はオレンジ、ソファは赤、
最上階となる3階の教室はガラス張り。
広島文教女子大学のキャンパスに、これまでと全く雰囲気の違う建物がお目見え。
文教英語コミュニケーションセンター(BECC)。
授業で使うだけでなく、昼休みや放課後には、
サロンで教員と気軽に会話ができる。
2階以上では原則、日本語が使えないルール。
学習アドバイザーも常駐。
映画やCD、漫画などの教材がふんだんにあり、発音が練習できるブース、
ビデオカメラを借りて発表の練習ができる小部屋などを使って、自学自習ができる。
神田外語大学と業務委託契約を結んだ施設。
同大は、教員4人を含む7人をBECCのスタッフとして送り込んだ。
教員が全員、英語を母語としているだけでなく、
言語学や教育学などの修士号を持っている。
神田外語大では、4年前からの東北大を手はじめに、
岩手大や九州大でも語学教育を手がけている。
その評判を聞いた広島文教女子大の角重始学長が、導入を即断した。
人間科学部1学部の5学科だけという小さな大学。
地方私大の経営は厳しい。
初等教育学科の教員免許など、すべての学科が資格に結びつくが、
それに加えて語学力は付加価値になるという判断。
「自学自習の習慣を身につけることは、将来にわたって学び続ける力になる」
国が大学生に必要な能力を、「学士力」という言葉で提示、
その一つとして語学などコミュニケーション力を掲げようとしていることも、
学長の背中を押した。
10月上旬の1年生の授業。
「ハーイ」と手を挙げて教室に入っていく学生たちには、
教室に入るのを尻込みしていたという入学当初の姿は想像できない。
ニュージーランド出身のジーン・トンプソンさん(30)は、
「新婚旅行の行き先」といったテーマで学生を引きつける。
教室内は笑顔が絶えない。
BECCで授業まで受けるのは、まだ1年生限定。
小学校教員になるにも、英語の素養が必要な時代だけに、
「そのことは意識しています」という学生が多い。
施設を使いこなす1年生に、上級生からは「うらやましい」といった声も。
語学を専門に学ぼうという学生に比べれば、
英語を学ぶ動機が弱いことは否めない。
前年度の1、2年生へのアンケートでは、
「中学・高校で英語は不得意だった」と答えた学生が52%、「嫌いだった」43%。
独自のカリキュラムが必要になっている。
学習アドバイザーへの相談も、日本語でできるよう、配慮。
新年度にはスタッフが増員される。
「いつまでも神田コーナーでいいわけがない」と角重学長。
将来、この施設をどこまで自分たちのものにできるのか。
大学の評価は、卒業生の進路とともに、その点にかかっている。
◆大学は連携の時代
大学間の連携が、全入時代を迎えて加速、
文部科学省も今年度から、連携を後押しする戦略的大学連携支援事業を始めた。
採択された54件には、地元同士だけでなく、武蔵工業と室蘭工業、
日本福祉と北星学園と熊本学園といった全国規模の連携や、
共同での大学院設置を目指す動きも含まれている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081112-OYT8T00198.htm
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