2009年10月16日金曜日

高速料金上限1,000円の景気対策効果

(サイエンスポータル 2009年10月5日)

財団法人運輸調査局が、5人の大学教授・准教授から成る
「高速道路料金引き下げに関する研究会」による報告。

4月1日から8月までの土、日、祝日に遠出した人に、
ウェブアンケートに答えてもらったデータ(28,791サンプル)と、
7月28日-9月15日間に公共交通、物流関連、観光などの
事業者、業界団体27社、6団体、44法人と
都道府県観光担当部局(回答29都道府県)に質問票を郵送、
回答を得たデータをもとに、流動量とCO2排出量舳の影響を試算。

高速道路料金「土、日、祝日上限1,000円」施策を
年間通して実施した場合、年204万トンのCO2が排出増。

日本の運輸部門が、年間に排出するCO2量の0.82%に相当。
高速道路の自家用乗用車利用者数は36.0%増えたと試算、
鉄道利用から替えた人が2.2%、バスから0.4%、航空機からは0.3%、
いつもの一般道路から高速道路利用に替えた、という人は8.4%。
これら振り替え組を除く新規誘発率は24.5%、
4人に一人が「土、日、祝日上限1,000円」施策による
高速道路利用者の“純増”分という結果。

CO2排出増の見返りとなるメリットはどうだったのか?
「景気刺激策としては一定の効果があった」としているものの、
「全国各地の観光地がその恩恵を享受したわけではなく、
地域的に偏りが見られる」、

「観光客が増加した場所も多くは日帰りで、
宿泊消費には必ずしも結びついていない。
客単価もあまり高くない」と、必ずしも高い評価は与えていない。

「一定の効果があった」とする根拠として、
ゴールデンウイーク中に高速道路ETCを利用した人の
一人あたり消費金額が11,663円、

この施策がなかったとした場合に比べ、宿泊施設、商業施設、
観光施設、サービスエリア・パーキングエリア、その他の場所で
いずれも消費金額が上回ったという数字を挙げている。

ガソリン代やレンタカー代も当然増えたので、
施策がなかった場合の消費金額試算値9,949円に比べ、
一人あたり1,714円多くのお金を使ってくれた。
11,663円と9,949円の違い。
これが「相当の」とは言わず、「一定の」効果という評価になった
理由と思われるが、ひとつ気になる点。

消費金額には、道路料金が含まれていること。
料金引き下げで、道路料金は一人あたり1,028円の支出で
収まっており、施策がなかった場合の1,781円より753円少ない。

景気対策(高速料金引き下げ)の効果を見る数字として、
報告書が示した1,714円ではなく、この753円も加えた額、
2,467円が一人あたりの実質的な消費金額増という
比較法はありえないのだろうか。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0910/0910051.html

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