(サイエンスポータル 2009年10月1日)
政府の地球温暖化問題に関する閣僚会議が、
温室効果ガス削減目標達成に必要な具体策や費用負担の
試算などにあたる作業チームの設置を決めた。
温室効果ガスを2020年までに25%削減した場合、
家計にどの程度の負担がかかるか再試算する、ことを見出し。
麻生前政権は、「25%削減したら、一般家庭の年間負担は
36万円に上る」という試算を理由の一つに挙げ、
25%削減目標を批判。
鳩山政権は、この批判が的を射たものでないことを
再試算によって示す意向と見られるが、
では年36万円という金額の根拠とはいかなるものか?
日経新聞の塩谷善雄論説委員の記事
「『官』数字を読み解け 役所依存が生む“ご都合”試算」から、
経産省がまとめたというこの試算の中身を見てみた。
「試算では、まず2005年を起点として、
毎年1.3%ほどGDPが伸びると想定し、
排出削減策を全く何も講じなかった場合の2020年のGDP、
可処分所得、光熱費、失業率を予想。
その数字と、25%削減に必要な策を講じた場合に予測される
2020年の数字と比較する。
すると何もしない場合に比べ、25%削減した場合は
20年の可処分所得に22万円の差ができると予想」
この22万円と、光熱費の負担増14万円を加えると、
2020年の一般家庭の負担増は36万円に、
というのが試算の内容。
これがいかに誤解や曲解を広げやすい試算であるかを、
塩谷論説委員は次のように書いている。
「(試算は)毎年1.3%ずつGDPが伸びるという前提なので、
現在と比べ、25%排出削減しても可処分所得の絶対額は
70万円以上増える勘定」
ここまで解説されれば、「それを先に言ってよ」と思う人は多い。
http://www.scienceportal.jp/news/review/0910/0910011.html
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