(毎日 10月11日)
世界で2都市しかない原爆の体験を踏まえ、
五輪の原点でもある「平和の祭典」の実現に向けて
動き出した広島と長崎。
16年五輪を逃した東京の敗因として、理念の希薄さが指摘、
両市が招致に取り組めば、IOCや世界に独自の理念を
示せるのが強みとなる。
広島の秋葉忠利、長崎の田上富久の両市長の期待感も、
そこに根拠がある。
だが、五輪はあくまでもスポーツの大会。
競技施設や宿泊、輸送の整備、
きめ細かな運営などが求められる。
東京は、計画や財政の面で優れていたが、
広島と長崎は「大会開催の能力」という点で不安が多い。
両市長も、「多くの問題があるのは承知している」と認め、
五輪開催の厳しい現実に向き合い、招致の可否を検討。
IOCの姿勢も影響するかもしれない。
IOCは、90年代から00年代初め、
環境や平和への貢献を尊重。
最近は、08年五輪を中国・北京で開いたり、
16年五輪を南米初のリオデジャネイロにもたらしたように、
五輪を世界により広めることが重視される傾向。
五輪が政治的に利用されることへの抵抗感も強く、
核兵器廃絶の訴えが国際政治と密接だと受け止められれば、
逆効果になりかねない。
首都・東京に続いて、広島、長崎という新たな地方都市が
五輪への興味を示したことで、日本国内での関心は高まる。
対照的な性格を持つ都市を比較検討しながら、
真剣な議論が展開されれば、五輪招致の是非やあり方について
改めて考える機会となるに違いない。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/news/20091012k0000m050090000c.html
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