(読売 10月6日)
女子学生が、農園体験を通して変わっていく。
埼玉県鶴ヶ島市にある女子栄養大学の農園。
女子学生が、“マイ畑”に植えられたサツマイモの草取り。
「根っこを切らないと、草はまた、すぐ伸びてきちゃうのよ」
農園担当の女性職員からのアドバイスに、
麦わら帽子をかぶった学生たちは「なるほど」とうなずく。
3年今田聡子さん(25)は、「雑草も虫もすごい」と驚き、
ツルをひっくり返して草取り作業に没頭。
大学農園は、キャンパスから徒歩10分の住宅街にあり、
広さは約3000平方メートル。
選択科目「農園体験」を履修する学生は、この一画を与えられ、
職員の助言を受けながら野菜作りに挑戦。
決まった時間はなく、授業の合間や放課後に訪れる。
昨年から農業大学校での指導経験を持つ職員が
スタッフに加わり、畑を開墾しなおした。
農園施設に交流スペースも設け、
今年度の履修者は約270人と、昨年度より100人近く増えた。
農作業とは無縁だった女子学生には、強烈な体験。
2年黒木あゆみさん(20)は、「チョウチョも怖くて逃げるぐらい」の
大の虫嫌い。
畑に虫がいるというイメージも少なく受講したが、
野菜に付いた虫が怖くて収穫できず、ほとんどを捨ててしまった。
「育てたものを無駄にしてしまった」
罪悪感から一念発起し、再び挑戦。
虫にも慣れてきた冬のある日、意外な発見。
冬キャベツが、長雨のしばらく後、一部が腐っていた。
葉の間に水がたまっていた。
「雨が降るのは野菜に良い事だと思っていたし、
畑にある限り腐らないと思っていた」
マメな手入れなくして、うまく育たないと知った。
「これまでは、天候不順で野菜の値段が上がると不満だったけど、
農家の苦労が身近になって、納得して買えるようになった」
大根の収穫体験を通して感動したという黒木さんは、
「野菜がどうできているのか、知らない子どもたちが多い。
将来は、食育ボランティアをやりたい」
「園芸」を教育理念の一つとする恵泉女学園大学では、
野菜作りをする「生活園芸」が、
1988年の開学当初からの必修科目。
1年生約450人は1年間、週1回90分、
キャンパスの隣の農場で、牛ふんを使い、草取りなどの
多くの作業が求められる有機栽培に汗を流す。
樋口幸男准教授(47)は、「スーパーの野菜が、
なぜこんなに安いのかと疑問に思うはず。
食の安全安心が問題になるのは、手間暇を惜しんだツケが
回ってきたと気付いてくる」
「自分がいないと育たない命があると感じ、
受け身だった学生が積極的に学ぶようになる」
畑との出会いが、女子学生に大きな財産を残している。
◆農園体験
女子栄養大学では選択科目で、1年間、自分の畑
(1メートル×2メートル)で畑作り、栽培、収穫した農産物の
加工調理まで行う。
農園職員の助言を受けながら、好きな時間に訪れ、
ジャガイモやサツマイモ、白菜、ダイコンなどを育てる。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091006-OYT8T00187.htm
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