2009年10月15日木曜日

スポーツ21世紀:新しい波/319 ハンドボールの挑戦/下

(毎日 10月3日)

愛知・枇杷島スポーツセンターで、
ハンドボールの日本リーグが開幕。
昨季王者の大同特殊鋼対湧永製薬の好カード。
観客数はわずかに513人。
翌日も含めた7試合で、1000人を超えたのは3試合、
日本リーグ機構の関係者は「出足が悪いねえ」と不安。

ここ数年、日本リーグの観客数は右肩上がり。
06年、日本のエースの宮崎大輔が運動能力を競う
テレビ番組で、総合優勝したのが転機。
昨年、北京五輪のアジア地区予選で、疑惑の判定とされる
「中東の笛」問題で試合がやり直しになり、
日本で開催された再試合は6000枚のチケットが
即日完売するほど注目。
日本リーグの観客数も、08~09年シーズンは約11万人。
前年よりも2万5000人増加。

しかし、今季は苦戦が予想。
宮崎がスペインリーグのチームに移籍。
宮崎以外にはスター選手はおらず、
川上憲太・日本ハンドボール協会専務理事は、
「お客を呼べるヒーローを育てなければいけない」
集客増を担ってきた中高生が、新型インフルエンザの影響で
試合観戦を自主規制しているのもマイナス要因。

ハンドボールの日本リーグ加盟チームには、地域的な偏り。
男子は、大崎電気が埼玉県に本拠地を置く以外、
7チームが愛知県以西。
女子は、HC名古屋が最も東のチーム。
現在では東京、大阪の2大都市で試合が組めない状態。

逆風の中、協会は今季のプレーオフの会場を
昨年までの駒沢体育館から東京体育館に変更。
収容能力では倍以上に膨らむ。
日本リーグ機構の茂木均事務局長は、
「プレーオフは、観客がまだ見込める。
できるところからチャレンジしていくしかない」と意気込む。

新リーグ「チャレンジ・ディビジョン」の設置や、
プレーオフの会場変更。
「バレーやバスケットと違って、マイナー競技だから、
手をこまねいている時間はない」(協会幹部)。
競技を取り巻く環境に揺れながら、
試行錯誤の挑戦は今後も続く。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

0 件のコメント: