(2010年4月21日 読売新聞)
世界的な免疫学者で、エッセイストとしても知られた
多田富雄さんが21日、前立腺がんで死去。76歳。
偲ぶ会は6月18日午後6時30分、東京会館。
喪主は妻、式江さん。
茨城県生まれ。千葉大医学部で学んだ。
免疫の仕組みで重要な働きをするサプレッサー(抑制)T細胞を発見、
1971年の国際免疫学会で発表、ノーベル賞級の業績と評価。
国際免疫学会連合会会長などを歴任。
84年、文化功労者。
免疫学を土台に、独自の生命論、文化・社会論を展開、
文筆業でも活躍した。
93年、「免疫の意味論」で大佛次郎賞、
2000年、「独酌余滴」で日本エッセイスト・クラブ賞を受けた。
01年、脳梗塞で倒れ、右半身まひとなったが、
左手だけでパソコンを操り、多数の著作を刊行。
08年、闘病の日々を描いた「寡黙なる巨人」で、小林秀雄賞。
新作能の作者としても知られ、相対性理論を題材とした
「一石仙人」などを発表。
06年、リハビリテーション医療に日数制限を設けた医療保険の
診療報酬改定に抗議、制限撤廃を求める44万人分の署名を
厚生労働省に提出。
最晩年まで、社会に積極的に働きかける姿勢は変わらなかった。
◆解剖学者、養老孟司さんの話
「自然科学は一種の美的感覚だが、多田さんは文章でも日常生活でも、
美しいものに対する感性が優れていた。
彼の文章は、冗舌な現代には珍しい、削り込んだ言葉の表現。
能の美しさに引かれたのも、同じ感性から。
病気をしていなければ、もっと活躍できた人だった」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/22/119354/
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