(読売 4月22日)
連載に寄せられた読者の声に、
保護者と教師を隔てる溝の正体が見えてくる。
「先生は、聖職という座にあぐらをかいている」と批判、
石川県の小学生の母親(38)。
長女が4年生だった昨年、学校で男子からちょっかいを出され、
何度かあざを作ってきた。
心配して、連絡帳でベテランの担任に相談したら、
「たまたまです」、「気にし過ぎです」との返事ばかり。
母親は、「もっと愛情を持って接してほしい」と訴えた。
昨年4月、小学4年になった長男の担任が新人だったという
長野県内の母親(45)。
熱心な先生だったが、保護者から厳しい要求を受けていた。
「子どもを教える難しい職業に、大学卒業直後から
一人前であることを求めるのは間違っていると思った」
教師の置かれた状況に、理解を示す声も。
10年前、小学校のPTA会長を務めた宇都宮市の
長谷川道夫さん(57)は、親から担任に強い要望があった場合、
その内容をPTA総会で紹介。
多数の支持があれば、学校の課題とした。
「問題が起きた時、『担任―保護者』の図式に持っていかない。
そうすることで、担任に考えるゆとりが生まれた」
保護者は、なぜ、自分たちと教師との間に意識のずれを感じるのか。
その疑問に、切り込む研究がある。
親の意識について、親の苦情を四つに分類する
日本大学の佐藤晴雄教授(社会教育学)は、
モンスター・ペアレントの要求のように、実現性も正当性も低い
要求を、「イチャモン系」と定義。
この要望を当然とする親の行動を分析したところ、
「あまり学校を訪問せず、学校のことを理解していない傾向が強い」
という姿が浮かんだ。
教員の意識面から、保護者との関係づくりを探る大阪大学の
小野田正利教授(教育制度学)が、
「先生と呼ばれて、尊敬されていると思う意識が大きいほど、
自らの非を認めたがらず、トラブルに動揺しやすい」と分析。
小野田教授は、学校そのものにも改善の余地はあると指摘。
教科指導や学級運営など、膨大な仕事を日常的にさばきながら、
1年目にする初任者研修。
「子どもと向き合う中で、問題は見えてくる。
2年目からの方がいいのでは」と提案。
すれ違いを減らすためのカギが、少しずつ明らかになっている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100422-OYT8T00198.htm
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