(読売 7月16日)
穏やかな表情の遺影の横に、スナップ写真が何枚も飾られている。
「学校は、何もしてくれていなかったのか」。
自宅の居間で、両親は悔しさに満ちた心中を静かに語った。
いじめられていた友人を救えなかったことを悔やむ
内容の遺書を残し、川崎市立中学3年の男子生徒(当時14歳)が
自宅で自殺した。
加害者として、4人が名指しされていた。
生徒の母親(44)は、友人がいじめにあっていると生徒から聞き、
4月の家庭訪問で学級担任に伝えていた。
友人をかばった生徒自身も、いじめられていたらしいと
両親が聞いたのは、自殺の後。
「これ以上被害者を出してはいけない。
真実を明らかにして、いじめをなくして」と、生徒の父親(45)は訴える。
いじめにかかわる悲劇が続く。
今年3月、鹿児島県で男子中学生が自殺、
いじめとの関連が疑われている。
6月、岐阜県で、女子中学生が服を脱がされ、
携帯電話で動画撮影されるという悪質ないじめが発覚。
全国の学校でのいじめ認知件数(文部科学省調べ)は、
2008年度で8万4648件、2年連続で減少。
一方で、いじめの潜在化を心配する声も根強い。
国立教育政策研究所は6月、07年から3年間実施した
いじめ追跡調査で、小学4年~中学3年で
いじめと無関係でいられる児童生徒はわずか1割。
どの学校、学級でも、どの子も、被害者にも加害者にもなりうる、
という衝撃の結論。
同研究所生徒指導研究センター・総括研究官の滝充さん(56)は、
「いじめにピークはない。
いつでも起きると考え、学校全体で
いい雰囲気作りを続けるしかない」
川崎市は04年以降、いじめの社会問題化を背景に、
いじめ対応マニュアルを全市立学校教員に配布。
いじめ防止などのため、ゲームや共同作業で人間関係を学ぶ
プログラムを導入し、自殺した生徒の学校も昨年度から行っていた。
事件後、校長は「校内にいじめはあった」と認めたが、
自殺との関係については、本紙の取材に「調査中」。
事実関係の把握と原因究明は、学校や保護者代表、
有識者らで構成する調査委員会にゆだねられている。
何があったのか?
担任や学校は対応していたのか?
だとすれば、何が問題だったのか?
誰の身にもおこりうるいじめ。
各地の取り組みを探った。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100716-OYT8T00266.htm
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