2010年7月29日木曜日

いじめ対策(2)親の「知る権利」確立訴え

(読売 7月17日)

「学校や教育委員会が持つ子どもの情報を、
親の私たちが知ることはできないのか」

2月15日、東京都清瀬市で同市立中学2年女子生徒
(当時14歳)が自殺した。
5か月後、父親(53)は、納得いかない表情で話した。
これまでに教委が公開した情報では、
自殺直前の学校での状況がほとんどわからない。

自殺の10日後、いじめをうかがわせる手書きのメモが
自室で見つかり、学校は生徒らの聞き取り調査を実施。
市教委は、結果の概要を発表、
「生徒に関する悪口やうわさは一部であったが、
学校に生徒は訴えていなかった」と説明。

両親は3月下旬、「学校側が選んでまとめた内容だけでは
事実はわからない」として、学校が自殺の数日前に実施した
学校生活に関するアンケートなどについて、
文書開示を市に請求。

生徒自身が書いた文書は開示されたが、
ほかの生徒の手書き文書は非開示。
両親は開示結果に不満を抱き、2、3月に開かれた職員会議の
議事録やメモなどの公開を、引き続き請求中。

市教委は、「プライバシーにかかわる問題であり、
教育的配慮が必要」と説明。
父親は、「匿名でいい。いつどこで何があったのか。
子どもの心境を知る生の判断材料が欲しいだけ」

「裁判なんか起こしたくなかったけれど、
肝心の情報を出さない学校の姿勢が決断させた」、
いじめのない社会を目指して設立された
NPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)理事の
小森美登里さん(53)。

1998年、娘の香澄さん(当時15歳)(神奈川県立高校1年)を
自殺で失った小森さんは、2001年、香澄さんへの
精神的いじめがあったとして、県と元生徒らに慰謝料を求めて提訴。
事実を知りたいと、周囲の生徒が書いた作文の内容公開などを
学校側に求めたが、十分なものが得られず、
裁判なら、隠された情報が引き出せるかもしれないと考えた。

07年、和解で決着し、県はずっと非公開だった
生徒らの作文を部分開示した。

同NPOは今、「学校にかかわる事件・事故について、
親の『知る権利』の確立を」と国会議員らに訴えている。

小森さんは、「真実を隠せば、周囲の子どもたちの心にも傷が生まれ、
再発防止を妨げる。
我が子に何があったか、親が知ることができる仕組みづくりが必要」

◇メモ

2008年度、自殺した国公私立小・中・高校の児童生徒は136人。
いじめの状況に置かれていたとされるのが、3人。
同省は、1999~2005年度のいじめ自殺を当初ゼロと発表、
いじめ問題深刻化を受けて再調査した結果、
計2件に訂正した経緯。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100717-OYT8T00213.htm

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