(CNN 6月29日)
南アフリカワールドカップ(W杯)は、世界最高の選手たちが
プレーでしのぎを削る舞台となっているだけではない。
スポーツ用品メーカーにとっても、消費者の関心をいかに
自らの商品に引き付け、収益を増やすかという戦いの場。
今大会は特に、ドイツのアディダスと米国のナイキによる
競り合いが目立つ。
両社とも、世界規模で数十億人とされる今大会の観戦者の
関心や興味と、推定で約110億米ドルともされる
サッカー関連市場での主導権を奪うことをねらっている。
アディダスは過去40年間、サッカーの本場である欧州で、
主要スポンサーとしての地位をほぼ不動にしてきた。
ナイキは、常にスポーツ界の有名選手のスポンサーとなり、
製品のPR役にする宣伝戦略をとってきた。
W杯の場だけは異なる。
アディダスが、既に公式スポンサーとなっていたからだ。
ナイキは、サッカー界で存在感を示すために、
どのような戦術を取ったのだろうか?
あるスポーツ産業アナリストは、ゲリラ戦や不意打ちの要素を
にじませた宣伝手法と表現。
ナイキによるサッカー市場への食い込みが、驚くべき速度で
成功したことで、この戦術の効果は立証されたとも指摘。
ゲリラ戦法は、1984年の米ロサンゼルス夏季五輪で
初めて取り入れられた。
社の名前を売り出すため、あらゆる種類のビルに
自社の垂れ幕広告を飾った。
同社は依然、この手法への自信を失っていない。
ナイキのハンナ・ジョーンズ副社長は、
米オレゴン州にある本社で最近取材に応じ、
「我が社は、アスリートとチームを愛し、大会の開催を祝っている。
サッカーが、若者たちを魅了していることも喜んでいる」
しかし、アディダス側の主張も似たようなものであり、
ナイキの食い込みに、ただ手をこまねいている考えはない。
南アフリカ大会の開幕前、同社のハーバート・ヘイナー
最高経営責任者(CEO)は、サッカービジネスに絡んで、
新たな売上目標数値を設けたことを明らかにし、実現への自信を示した。
アディダスは、08年達成した13億ユーロを上回る売上高を目指す。
米国でのサッカーの認知度は、このスポーツをフットボールと呼ぶ
欧州ほど広がりがない。
これが、ナイキの克服すべき課題。
同社は今大会で米国、イングランド、ポルトガル、オランダを含む
計9チームのスポンサーとなった。
同社としてはW杯で過去最多。
これら9チームの選手は、アジアで回収されたプラスチック製の
ボトルを再生して作ったユニホームを着用。
環境保護への関心が高まるサッカーファンを意識した商品戦略の1つ。
このユニホームなどの開発、宣伝に当たったナイキの幹部は、
「サッカーは、世界で最高のスポーツだと思う。
我が社は、最高の選手たちに、環境に優しいユニホームを提供。
これは創造的な発想だし、究極的にはあらゆるものの
リユース、リサイクルを目指すナイキにとっても、
持続可能な事業展開は上位の目標に位置づけられる」
W杯南アフリカ大会では、ピッチの中と試合と同様、
場外でも、目を離せない戦いが繰り広げられている。
http://www.cnn.co.jp/business/AIC201006290012.html
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